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映画「Cloud クラウド」で転売屋役の菅田将暉、「暗闇で動けない怖さ」黒沢清監督らしい

読売新聞 / 2024年9月24日 16時14分

転売屋の吉井(菅田将暉)は、様々な人の憎悪の対象になっていく

 菅田将暉が初めて、黒沢清監督とタッグを組んだ。27日公開の「Cloud クラウド」で、菅田はインターネットを利用する転売屋を演じている。主人公が感じる不穏な空気や緊張はネット社会ならではで、「暗闇の中で動けない怖さみたいなものが、黒沢さんらしいと思った」と話す。(近藤孝)

 黒沢監督には、夫婦愛を描いた「岸辺の旅」、歴史を背景にした「スパイの妻」のような作品もあるが、真骨頂はスリラーやホラーだろう。菅田も「自分が純粋に娯楽として楽しめるのは、黒沢さんが撮るようなサスペンスやスリラー。だから、黒沢映画に出たいと思ったのは、まずは好奇心からだった」と明かす。

 しかも、黒沢作品は、他の映画と違って、「やぼったい印象がなくスマート」と感じていた。監督から「僕の映画はR指定(年齢制限)がほとんどつかない」と聞いたこともある。「あれだけ怖いのに、不用意に血が出ない。『Cloud』でも、銃でたくさん人が撃たれるけど、破壊された死体は撮ってませんから」

 では、何が怖いのか。「説明しすぎない、見せすぎない」から怖いのだ。

 「Cloud」の主人公、吉井はフィギュアなどをまとめ買いし、ネット上で高く売りつけていた。黒沢監督が「コツコツと悪を積み重ねて、何とか社会の中で生きていこうとする人」と言い表すような男だ。

 転売とは別に、昼間は町工場で真面目に働いている。なのに、知らぬ間に、転売の仕事を教えてくれた男(窪田正孝)や工場の社長(荒川良々)らの反感を買い、吉井に対する憎しみは雲のように、目に見えないところでむくむくと膨らんでいく。

 人に恨まれるようなことを言う吉井の心理は、映画では詳しく説明されない。撮影現場でも、「黒沢さんは、俳優に対して、感情的な面での演出はほとんどしなかった。人の動きの説明とカメラをどこにおいて撮るかを教えてもらうだけだった」という。

 そのような演出のせいで「演じやすかった」と振り返る。「感情で演技をする場合、感情の流れをつくってから、それが予定調和にならないように、自分の中で一度忘れる。そして、本番。だから、複雑なんです。でも、黒沢さんの場合は、とりあえず、言われた通りの動きをしてみる。しっくりこないことも結構あるんですけど、『人間ってそういうものだしな』『居心地悪く感じるのも、演出のせいかな』と思ってるうちに、終わってるんですよ」

 居心地の悪さを感じている表情が、そのままスクリーンに映し出される。薄暗い中、無言のままでいる場面も多い。「演技をするぞみたいな、よこしまなことを考えずに済みました。至って真面目に、目の前のことに取り組んだっていう感じです。それが面白かった」

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