女子受刑者にネイリストの職業訓練…栃木で希望者が殺到
読売新聞 / 2024年9月25日 6時44分
再犯の7割無職で就労確保は重要課題
受刑者の社会復帰や就労を支援しようと、喜連川社会復帰促進センター(栃木県さくら市)で女子受刑者に対し、ネイルの資格取得を目指す職業訓練が行われている。今月には、ネイル業界の関係者を招いた就労支援説明会を開催。同センターでは他にも多種多様な職業訓練などが行われており、担当者は「民間の力も借りながら、様々な取り組みをしていきたい」と話している。(三枝未来)
「ネイリストは正しい技術と知識を身につければ学歴、経歴は関係ない。人の笑顔で自分が幸せと思える人がネイリストに向いている。(自分なりの)花を咲かせてください」。12日、同センターで行われた同会で、日本ネイリスト協会の仲宗根幸子理事長は女性受刑者らに語った。
同会は、受刑者の就労意欲向上や、関係者が受刑者の就労について理解を深めることなどを目的に開かれ、ネイル業界関係者ら約30人が参加した。受刑者の就労支援について説明が行われた後、関係者らが職業訓練を見学した。
仲宗根理事長による講話も行われ、自身の経験や重要な練習法などについて語ると、受刑者らは「(ネイルした)手を見るとうれしくなる。人を笑顔にする仕事で素敵だなと思った」「ネイリストになるのが今の夢。ネイルの奥深さを知れた」などと感想を述べた。
法務省によると、再犯で刑務所に戻った人の約7割が無職だ。第2次再犯防止推進計画では、不安定な就労が再犯の要因になるとし、就労の確保を重要課題に位置づけており、同センターでも就労支援に力を入れている。
同センターでは、女性受刑者を対象に、ネイルに関する資格取得を目指す「ネイリスト科」を昨年5月に開講。同センターによると、職業訓練で現在同科は全国唯一で、昨年度は2期計10人が受講した。今年度は4人が学んでいるが、全国各地から受講希望者が殺到する「狭き門」となっている。
また、同センターでは同科のほか「クリーンスタッフ養成科」、「在宅ワーカー育成科」など計14科目の職業訓練を実施。受刑者に対する企業説明会を開催したり、ハローワークと連携して受刑中に就活したりする取り組みも進めており、昨年度は全国の刑務所で3番目に多い42人が受刑中に内定を獲得した。
同センターの井上裕道調査官は「民間の方に受刑者の就労について知ってもらう貴重な機会になった。受刑者も職業への理解を深められたと思う」と手応えを語り、「再犯防止には就労の確保が重要。民間との連携を含め、さらに就労支援を充実させたい」と話した。
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