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4階建てビル全てが「ハラール食」レストラン、すきやき・ラーメン対応…ムスリム「和牛食べられてうれしい」

読売新聞 / 2024年9月25日 10時34分

店内に設けられた礼拝室(下京区で)=川崎公太撮影

 京都市の四条河原町(下京区)に今年オープンしたビルが、観光で訪れたイスラム教徒(ムスリム)の人気を集めている。4階建てのビル全体が、イスラム教の戒律に配慮した「ハラール食」専門の飲食店で、日本で食事に困るムスリムの助けになっている。(畝河内星麗)

礼拝室も完備

 ビルに入る飲食店の名称は「帆のるぐらんで京都」。ラーメンや牛すきやき重、牛カツなど、日本で人気の料理をハラール対応で楽しめるほか、礼拝室も完備されているとあって、SNSで評判が広がった。

 ランチタイムには、東南アジアなどから訪れた家族連れが、料理を前に写真を撮ったり、談笑したりする姿が見られる。シンガポールから家族で訪れたハシーム・モハメドフィトリさん(58)は「和牛を食べられたのがうれしい。ムスリムの人が予約なしで入れる飲食店がもっと増えてほしい」と話した。

 ハラールは、アラビア語で「許されたもの」を意味する。料理には豚肉や酒類は一切使えず、鶏肉や牛肉も戒律にのっとった処理を施す必要がある。アルコール分が含まれるしょうゆやみりんも使えないため、多くの日本食が禁忌にあたる。

 運営するのは、ハラール対応の飲食店を手がける「アセットフロンティア」(東京)。ラーメンのダシには昆布やしいたけ、かつお節など日本人にもなじみ深い食材を使用し、しょうゆやみりん風の調味料、牛肉などは「ハラール認証」を取得しているものを国内外から取り寄せる。

 1杯4000円以上するラーメンもあるが、高い人気を誇る。同社の島居里至代表は「このビルがあることで、日本人がムスリムの人を歓迎していると感じてもらえたら」と話す。

料亭でも

 日本政府観光局(JNTO)によると、ムスリムが多いインドネシアなどから訪れた観光客は昨年1年間で100万人を超え、過去最高となった。京都市観光協会は、市内約110の宿泊施設を今年1~7月に利用した東南アジアや中東からの観光客は延べ約33万人と推計している。

 ハラール食に対応する料亭もある。嵐山の日本料理店「京都嵐山  良彌 よしや」は伝統的な和食以外に、ハラール対応のしゃぶしゃぶ会席、カツカレーなどを用意。食材のほか、器や調理場もハラール仕様とし、2016年に認証を取得した。

 従業員でインドネシア出身のハスナ・アウサフィナ・ナビラさん(26)は「母国などから来た人が喜んで食事している姿を見られるのがとてもうれしく、誇りをもって働ける」と笑顔を見せる。

少ない提供店

 一方、急増するムスリムの観光客に比べ、ハラール食を提供できる飲食店は少ないのが現状だ。

 「京都ハラール評議会」によると、同会のハラール認証を取得した京都市内の飲食店は累計約20店舗にとどまり、コロナ禍後に閉店した店も多い。

 食材の調達にコストがかかるほか、限られた店舗のスペースで他の料理と調理の工程を分ける必要があり、同会は「ビジネスとしてハラール食を扱うのは簡単ではない。原材料に何が含まれているかを表示するなど、まずはムスリムの人が安心して食事できる工夫を広げる必要がある」としている。

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