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SNSの「炎上」と対策学べる検定、受講者増…特に炎上しやすいトピックは「さしすせそ」

読売新聞 / 2024年9月25日 15時0分

SNSエキスパート協会が字資する検定の受講者数の推移

 インターネット上のSNSで批判や 誹謗 ひぼう中傷が殺到する「炎上」が社会問題となる中、炎上のメカニズムや予防策、SNSの適切な使い方について学ぶ検定の受講者が増えている。炎上すれば、「火消し」は容易ではなく、企業も個人も被害を受ける恐れもあるため、炎上対策はSNS時代の必須の素養になり始めている。(今泉遼)

正しい対応は

 「炎上した場合の対応について、適切なものを一つ選びなさい」

 〈a、火種となった投稿をなるべく早く削除することが大切だ〉

 〈b、SNSのプロフィルに所属企業名や本名を公開していなければ問題はない〉

 〈c、完全鎮火するまではSNS投稿を自粛することも検討すべきだ〉

 一般社団法人「SNSエキスパート協会」(東京)が実施する「SNSリスクマネジメント検定」のサンプル問題だ。正答はc。aは投稿を削除したとしても誰かにスクリーンショットを取られている可能性があり、「 隠蔽 いんぺいだ」とさらなる炎上を招く可能性があり、bは過去の投稿などから個人情報を特定されかねないため、いずれも不適切だという。

 協会は2016年、企業のSNS活用を支援するIT企業「コムニコ」(東京)が設立。同検定を含め3種類のSNSに関する検定を17年に始めた。3種類の合計受講者数は17年度の299人から増え続け、23年11月~24年7月には6146人に上った。

 受講者は、SNSのリスクや炎上について解説する講義動画を視聴した後、30問程度を約30分間で解き、正答率9割以上で認定となる。認定されると合格証と認定ロゴが発行され、自分の名刺やメールの署名に掲載することなどができる。

「さしすせそ」

 動画で講義を行っているのは、同協会の後藤真理恵代表理事(52)。災害や宗教、セクシュアルなどの頭文字を取り、特に炎上しやすいトピックを「炎上さしすせそ」と名づけて注意を呼びかける。3月11日(東日本大震災)や8月6、9日(広島、長崎原爆の日)といった多数の犠牲者が出た特定の日については、特に投稿前の慎重な確認の必要性を説いている。

 食品メーカーで商品開発を担当し、SNSでの発信にも携わる山形市の男性(36)は昨年、検定を受講し、認定を受けた。取材に対し、「SNSは新商品や展示会出展の情報をすぐに発信でき便利なツールだ。認定後、SNSの使い方のガイドライン(指針)を会社のチームで作ることになり、知識が役に立った」と語る。

 後藤代表理事は「炎上が起きれば、企業であれば、イメージ悪化や売り上げ減少、株価下落などを招きかねず、個人であれば名前や自宅が特定されてさらされるなど被害を受ける可能性もあり、対策が重要だ」と指摘する。

昨年1500件超

 ネット上の炎上を分析する一般社団法人「デジタル・クライシス総合研究所」(東京)がまとめた白書によると、批判的な投稿などが100件以上集まる「炎上」は昨年、前年比0・8%増の1583件発生。内訳は著名人が32%、一般人が33%、メディア以外の法人が25%、メディアが8%だった。炎上の発端となる「露出源」はX(旧ツイッター)が65%でトップ。ユーチューブが6%、、TikTok(ティックトック)が3%で続いた。

 同研究所でも、炎上の仕組みや事例を理解し、トラブル回避につなげる「SNSリスク管理士検定」を22年から実施。受講者は3000人を超えた。研究所の前薗利大・主任研究員(36)は「SNSが普及する中で炎上に関する予防や対策への意識の高まりを感じる。検定を通じて予防策のほか、早期の対処法などについて知ってもらいたい」としている。

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