中国軍「異例」のICBM訓練公表、バイデン政権の威嚇狙いか…新華社通信「所期の目的を達成」
読売新聞 / 2024年9月25日 20時27分
【北京=東慶一郎、台北=園田将嗣】中国国防省は25日、中国軍で戦略ミサイルを運用する「ロケット軍」が同日午前8時44分(日本時間同9時44分)、訓練用の模擬弾頭を搭載した大陸間弾道ミサイル(ICBM)を太平洋の公海に向けて発射し、所定の海域に着弾させたと発表した。中国軍がICBMの訓練を公表するのは極めて異例だ。
発表によると、発射は年度計画に沿った訓練の一環だ。「特定の国を対象にしていない」と主張しているが、台湾問題で対中強硬姿勢を強めるバイデン米政権を威嚇する狙いとみられる。
中国中央テレビによると、中国軍は1980年に海上を目標としたICBMの発射試験を実施したが、近年は訓練の公表例はなかった。国営新華社通信は「装備の性能と部隊訓練のレベルを検証し、所期の目的を達成した」と成果を誇示した。発射について関係国に対し事前に通知したとしている。
日本の防衛省や海上保安庁によると、中国は「宇宙ごみ」を落下させるとして23日夜、フィリピン北西部と北東部、オーストラリア東側の南太平洋の3か所を危険海域に設定しており、海保が周辺船舶に警告を出していた。日本政府は、中国が南シナ海周辺から発射し、三つの海域に1、2段目のブースターや模擬弾頭を落下させたと推定する。
中国軍の内情に詳しい関係筋によると、使用されたミサイルは最大射程1万1200キロ・メートルで米国本土を射程に収める「DF(東風)41」との情報もある。香田洋二・元自衛艦隊司令官も同様の分析を本紙に示した。
一方、台湾国防部(国防省)は25日、同日午前7時10分(同8時10分)以降、中国軍の戦闘機や無人機など延べ23機が台湾周辺で活動し、そのうち22機が台湾海峡の事実上の中台境界線となってきた中間線を越えたと発表した。ICBM発射と連動した演習の一環だった可能性もある。
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