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妻は誕生日を迎えるはずだった…一緒に外に出ていればと悔やみ「今回の雨も大丈夫と甘く見ていた」

読売新聞 / 2024年9月25日 23時11分

捜索を行う消防隊員ら(25日午後、石川県能登町で)=青木瞭撮影

 石川県を襲った記録的な大雨から4日が経過した25日、川が氾濫した輪島市 久手川 ふてがわ地区で、連絡が取れなくなっていた 井角 いかど祐子さん(68)が遺体で見つかった。29日には誕生日を迎えるはずだった。明るく料理が得意だったという祐子さん。夫の隆さん(70)は「ありがとうと伝えたい」と声を絞り出した。(金沢支局 秋野誠、宮本悠希)

 井角さんの自宅は塚田川沿いにあった。21日午前9時半頃に雨脚が強くなり、水位が急激に上がってきた。1階の居間にいた祐子さんに「2階に上がって」と伝えてから、隆さんは車を高台に移動させようと外に出た。

 車を動かした後に戻ろうとしたが、自宅周辺の道が鉄砲水で川のように冠水し、通れない。近くの家に避難した隆さんは、自宅が浮き上がり、傾きながら流されていくのを目撃した。「一緒に外に出ていれば助かったかもしれない」と悔やむ。

 元日の能登半島地震では家の屋根が少し壊れた程度だった。「今回の雨も大丈夫だと甘く見ていた」と隆さんは言う。

 朗らかで明るく、料理の得意な妻だった。共通の趣味はグラウンドゴルフ。3人の孫をかわいがり、よく一緒に買い物に出かけていた。その孫が22日も遊びに来る予定で、祐子さんは孫が「食べたい」と言った手づくりギョーザを振る舞うのを楽しみにしていた。

 29日の祐子さんの誕生日は毎年、2人でケーキやすしを買って祝っていた。

 祐子さんは25日午前9時過ぎ、塚田川周辺を捜索していた消防や陸上自衛隊の捜索隊が見つけた。付近の土砂を重機で除去していたところ、うつぶせの状態で見つかったという。息子の陽介さん(43)とともに捜索に連日加わっていた隆さんは「本当に見つかってよかった」と話した。

記録的な大雨から4日、捜索続く

 被災地では25日も各地で捜索が続いた。

 能登町では、消防と警察の約50人が、連絡が取れなくなっている30歳代女性の捜索を行い、午前8時頃から道路脇の草むらを棒でかき分けて捜した。捜索を見守った弟(28)は「21日の朝に仕事に行ってから連絡が取れない。無事でいてほしい」と祈るように話した。

 石川県は、能登半島の大雨で所在が分からず、連絡が取れない安否不明者の氏名を公表している。情報提供や問い合わせは、県危機対策課(076・225・1306)へ。

 25日午後4時現在、井角さんを除いた安否不明者は以下の通り(敬称略)。

 【輪島市】喜三翼音14(久手川町堂山)▽前川政二80(久手川町古込)▽中山美紀31(町野町寺地)▽中村菊枝75(門前町皆月)

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