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深圳の男児刺殺1週間、中国「偶発的」繰り返す…警察上級部門が指示「動機漏らすな」

読売新聞 / 2024年9月26日 6時49分

 【深圳=鈴木隆弘、北京=吉永亜希子】中国広東省深圳市で、深圳日本人学校に登校中の男子児童(10)が刺されて死亡した事件は25日、発生から1週間となった。真相解明を求める日本側に対し、中国側は「偶発的な事件」と繰り返すだけで詳細な説明はしておらず、事件の背景はほとんど明らかになっていないままだ。

日本側「真相解明を」

献花絶えず

 深圳日本人学校では25日も、献花する中国人の姿があり、花束は23日までに2500束を超えた。男子大学院生は「事件を繰り返さないためにも、事件の原因をはっきりさせないといけない」と語気を強めた。

 学校は23日からオンラインで授業を再開した。10月上旬に安全対策をまとめ、登校を再開させる方向だが、徒歩通学の警備などが課題だという。外務省も今年度予算から4300万円を拠出し、中国にある全ての日本人学校の警備を強化する。ただ動機が不明では「どう対策を打つか明確な指示が出せない」(柘植芳文・外務副大臣)という困惑もある。

日本人標的かが焦点

 地元警察は、刺した男(44)を拘束して調べている。目撃者によると、男は男児を刺した後、駆けつけた警官らに「自分が刺した」と犯行を認め、おとなしく取り押さえられたという。現場で動機に結びつく言葉は発しなかったようで、解明は警察に委ねられた。日本人が標的にされたのか否かが焦点となる。

 だが、中国側は発生2日後に「偶発的な事件」と説明し、真相解明を求める日本側に立ちはだかる。香港メディア関係者によると、「深圳市の警察には男の動機を外部に漏らさないよう上級部門から指示が出ている」という。中国当局は動機の扱いに極めて敏感になっている模様だ。

 今年6月には、江蘇省蘇州市で日本人母子ら3人が襲われ、吉林省吉林市でも米国人4人が刃物で刺される事件があった。この2事件についても、中国外務省は発生翌日に「偶発的な事件」と発表した。その後、具体的な説明はなく、「今回も偶発的という説明で押し切るのではないか」(日本政府関係者)との懸念が強まっている。

政治的思惑

 実際、23日の中国外務省報道官の記者会見で、「日中双方が偶発的な個別の事案を日中関係全体に影響させないことで合意した」として、収束に向かっているように印象づける発言もあった。

 金杉憲治・駐中国大使は24日に遼寧省大連市トップ、25日に遼寧省トップとそれぞれ会談した際、日本として事件の真相解明と学校の警備強化、インターネット上の過激な言論への規制を求めていることを伝えた。現地の邦人社会や日系企業には不安感や危機感が強いが、中国が政治的な思惑で、事実を明らかにしない可能性はある。

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