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ダイビング客20人乗りの小型船転覆、仕切り板撤去した船尾から浸水…国の検査代行機関が不備見抜けず

読売新聞 / 2024年9月26日 10時50分

「仕切り板」が無断で取り外されたダイビング船「クリスタルM」の船尾開口部=運輸安全委員会提供

 沖縄県宮古島市の下地島沖で昨年8月、ダイビングツアー客ら20人を乗せた小型船が転覆する事故があり、運輸安全委員会は26日午前、調査報告書を公表した。「仕切り板」を撤去した船尾開口部からの浸水が原因とする一方、国の検査代行機関「日本小型船舶検査機構(JCI)」の検査で不備を発見できていなかったと指摘した。

 報告書によると、ダイビング船「クリスタルM」(乗客乗員20人、4・8総トン)は同月16日午前9時頃、急な強い雨も予想される雷注意報の発表を把握しないまま出航し、同11時以降、下地島北西沖で激しい風雨と高さ2メートルの波を受けた。

 船尾開口部から打ち込んだ波は、収納庫などの上蓋を通じて甲板下に流入し、船は午後0時42分頃に転覆した。宮古島海上保安部の巡視船などが救助してけが人はなかった。

 クリスタルMは2006年の進水後初回の検査時、船尾開口部の浸水を防ぐ仕切り板(高さ約50センチ)を備え、「最大搭載24人」は板の存在を前提に算出された。だが、運航業者はダイビング時に海への出入りがしやすいよう、まもなく撤去した。取り外しに必要な臨時検査を受けず、JCIによる定期検査時にも伝えなかった。

 JCI側も外観の検査で撤去に気付かず、運航業者側は事故後の調査に「JCIの指摘がなかったので問題ないと思っていた」と話した。報告書は、仕切り板の撤去が船尾からの波の打ち込みの一因だったと指摘した。JCIを巡っては、22年の北海道・知床半島沖の観光船沈没事故3日前の検査で、船のハッチ蓋を目視で「良好」とし、不具合を見抜けなかった経緯がある。

 報告書は国や地方自治体などに対しても「ダイビング船の運航実態の把握に努め、重層的な安全管理と指導をすべきだ」と指摘した。

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