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死刑確定の袴田巌さんに再審無罪、「5点の衣類」含む証拠を「捏造」認定…裁判長は判決後に謝罪

読売新聞 / 2024年9月26日 21時23分

袴田巌さんの再審で無罪判決となり弁護団らと喜ぶ姉のひで子さん(26日、静岡市の静岡地裁前で)=後藤嘉信撮影

 1966年に起きた静岡県一家4人殺害事件の再審判決で、静岡地裁は26日、強盗殺人罪などで死刑が確定した袴田巌さん(88)に無罪(求刑・死刑)を言い渡した。国井 恒志 こうし裁判長は、犯行着衣とされた「5点の衣類」など三つの証拠について「捜査機関によって 捏造 ねつぞうされた」と認定した。

 死刑が確定した事件で再審無罪となったのは戦後5件目で、長期化した今回の再審は制度のあり方に影響を与える可能性がある。

 検察側は通常の刑事裁判と同様に、再審無罪判決に対しても控訴できる。過去4件の再審では控訴せずに無罪が確定しており、検察側の対応が注目される。

 再審公判では、事件の1年2か月後に現場近くのみそタンクから発見され、赤みのある血痕が付いていた「5点の衣類」の評価が最大の争点となった。

 判決は、検察、弁護側双方が行った血痕のみそ漬け実験結果や専門家の証言を踏まえ、「タンク内で1年以上みそ漬けされれば血痕は赤みを失う」と指摘。発見の1年前に身柄を拘束されていた袴田さん以外の人物がタンクに入れたとし、「5点の衣類は犯行着衣ではない」と判断した。

 さらに、判決は「衣類は捜査機関が血痕を付けるなどの加工をし、タンクに隠匿した捏造証拠だ」と認定。このほか、衣類発見後の捜索で袴田さんの実家から見つかった衣類の「端切れ」も捜査機関が捏造したとし、検察作成の自白調書も「非人道的な取り調べで獲得され、虚偽の内容を含み、実質的に捏造された」とした。

 判決は、これらの捏造証拠を排除し、ほかの証拠でも「袴田さんが犯人とは認められない」と結論付けた。

 国井裁判長は判決を言い渡すと、「拘禁症」の袴田さんに代わって出廷した姉・ひで子さん(91)に「ここまで長い時間がかかり、申し訳ない」と謝罪した。

 判決後、静岡市内で記者会見した弁護団の小川秀世事務局長は証拠の捏造を踏まえ「捜査機関による犯罪を明らかにする」として、警察や検察の責任を追及する国家賠償請求訴訟の提起を検討する考えを示した。

 静岡地検の小長光健史次席検事は取材に「判決内容を精査して、適切に対処したい」と話した。

◆静岡県一家4人殺害事件=1966年6月30日未明、静岡県清水市(現・静岡市清水区)のみそ製造会社の専務宅が全焼し、専務(当時41歳)や妻(同39歳)、次女(同17歳)と長男(同14歳)の他殺体が見つかった。同社従業員だった袴田さんは逮捕後に「自白」したが、公判では一貫して無罪を主張。だが、80年に死刑が確定した。2008年からの第2次再審請求で昨年3月、再審開始が確定した。袴田さんは14年に釈放されている。

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