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営利組織化への転換を検討するオープンAI、安全対策が後回しになる懸念も…幹部らの流出続く

読売新聞 / 2024年9月27日 6時55分

 対話型AI(人工知能)サービス「チャットGPT」を開発した米オープンAIが、営利目的の法人への転換を検討している。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルなど米メディアが25日に報じた。これまでの非営利組織から転換することで、生成AIの開発に必要な資金を投資家から集めやすくする狙いがある。(ニューヨーク支局 小林泰裕)

資金調達

 報道によれば、オープンAIは非営利組織から、パブリック・ベネフィット・コーポレーション(PBC)と呼ばれる法人への転換に向けた準備を進めている。転換後はサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)らが株主となり、経営をコントロールする。

 現在、オープンAIに出資した投資家が得られる収益には「投資額の100倍以下」という制限が設けられているが、法人形態の転換に伴い、この上限の撤廃も検討されている。

 2022年11月にチャットGPTを公開したオープンAIは先行投資がかさみ、赤字に陥っている。財務状況を改善し、米グーグルやメタなど他社を上回るAIを開発するには投資家からの資金調達が不可欠だ。現在、マイクロソフト(MS)やアップルなどと65億ドル(約9400億円)の出資を交渉中だ。投資へのリターンが増えることになれば、交渉がスムーズに進む可能性が高まる。

 オープンAIは25日、読売新聞の取材に「すべての人に利益をもたらすAIの開発に引き続き注力する」とコメントした。

幹部流出

 オープンAIは15年、人類に利益をもたらすAIの開発を目的とした非営利組織として発足したが、資金調達のため19年に営利目的の子会社を設立し、MSなどから資金を受け入れた。現在は非営利組織が中間持ち株会社を通じ、営利子会社の過半の株式を握る。

 非営利をうたいつつ、子会社に巨額の資金が投入されて開発が加速するいびつな構造となり、社内でも成長の追求と安全性の確保を巡る対立がたびたび起こったとみられている。

 昨年11月にアルトマン氏がCEOを一時解任された際も、この対立が背景にあったと指摘されている。営利目的の法人に転換することで、そうした混乱は収まるとの見方もあるが、成長重視の姿勢が強まり、安全対策が後回しになるとの懸念もある。

 安全対策を担ってきた幹部2人が5月に退社を表明したのに続き、今月25日には最高技術責任者のミラ・ムラティ氏も退社を表明した。いずれも、成長重視のアルトマン氏との対立が一因とみられる。

 オープンAIの従業員は約1700人で、23年末の約800人から倍増した。一方で15年の創業メンバー13人のうち、残るのはアルトマン氏ら3人だけ。幹部の流出が続けば、経営への打撃となりかねない。

 ◆パブリック・ベネフィット・コーポレーション(PBC)=営利と公益の両方を追求する企業形態。米国では30州以上で制定されている。稼いだ利益を公益に用いることを会社の定款に明記し、より長期的に社会貢献に努めることを株主らに約束する。AI企業では米アンソロピックなどがPBCの形態をとる。

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