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谷川俊太郎さん直筆の校歌「ひたむきに、おおらかに」…静岡の高校で半世紀以上歌い継がれる思い

読売新聞 / 2024年11月23日 19時0分

 日本の現代詩を代表する詩人の谷川俊太郎さんが92歳で亡くなったことを受け、静岡県内でも惜しむ声が広がった。谷川さんは生前、多くの学校で校歌の作詞を手がけていた。県内の学校でも谷川さんの直筆の歌詞や歌碑などが残されており、大切に歌い継がれている。

 静岡市葵区の県立静岡東高校では開校から3年度目となる1966年1月に、校歌が誕生した。学校関係者から依頼を受けた谷川さんが作詞を担当し、校内には直筆の原稿用紙も残されている。

 同年3月発行の生徒会誌には谷川さんの特別寄稿も掲載。「本校を訪ね、生徒諸君や、先生方と話しあい、さらに車で付近の自然、遺跡などをまわったのは、私にとって大変意義深いことでした」「歌詞の意味も分からず、儀式の時にだけ退屈しながら歌う校歌など、我々の世代限りでおしまいにしたいと思ったのです」などと記されている。

 歌詞の一節である「ひたむきに、おおらかに」は現在、同校の学校案内冊子や教職員の名刺にも記載されている。増田博俊副校長(51)は「静岡東高の生徒の様子をよく表している言葉だと感じる。当時の先生方の思いを谷川さんに託したのだろう」と語った。

「あすをつくる」が校訓に

 牧之原市立相良小学校の校歌は、77年に谷川さんが作詞。自立と共生が高らかにうたわれ、同校の教育の基盤となり、校庭には校歌が刻まれた石碑もある。

 校歌制作を検討する中で谷川さんが作詞を担当した静岡東高の校歌に魅力を感じ、当時のPTA会長の知人を通じて作詞を依頼。谷川さんは同校を訪れ、校舎付近にある松の木や、現在でも校舎屋上から見える海など学校からの景色を歌詞に盛り込んだという。

 校歌は「なんだろう なぜかしら ひとにたよらず かんがえぬこう といかけるこころが あすをつくる」で始まる。「あすをつくる」という言葉は校訓にもなっており、児童には「自分から」を意識した気づきや行動を推進している。

 谷川さんは2003年の同校130周年の式典にも足を運ぶなど、作詞後も交流があった。校長室には谷川さん直筆の校歌の原稿があり、渡辺瑞穂教頭(54)は「先進的な歌詞で、今の教育で大切にしたいことが詰まっている。これからも大切に受け継いでいきたい」と話した。

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