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経済対策決定 惰性でバラマキを続けるのか

読売新聞 / 2024年11月23日 5時0分

 政策効果を吟味せず、規模ありきで歳出を膨らませたと言わざるを得ない。日本の成長力を高める施策にこそ、資金を重点的に投じるべきだ。

 政府は、物価高への対処などを掲げた経済対策を閣議決定した。これを受けた2024年度補正予算案は、一般会計からの支出が13・9兆円程度で、前年度補正予算の13・1兆円を上回る。

 民間支出を含めた事業規模は39兆円程度に上るという。

 日本経済は、賃金と投資がともに増える「成長型経済」へと転換を図るべき局面にあり、資金は戦略的に使っていく必要がある。

 コロナ禍の影響も薄れ、景気が緩やかな回復を続ける中、政府自らが昨年6月、経済成長と財政健全化を両立させるために、「歳出構造を平時に戻していく」との方針を決めていたはずだ。

 それにもかかわらず、予算規模が膨らんだのは、石破首相が、先の衆院選の期間中に内容の吟味がないまま、前年度を上回る規模にすると言及したことが大きい。

 その結果、必要な施策を精査して積み上げたものではなく、はじめから規模ありきで、バラマキ型の補正予算案となった。

 巨額な支出に見合う効果が乏しく、惰性で続けている施策の典型が、住民税の非課税世帯への3万円の給付金だろう。コロナ禍以降、この種の給付金は何度も繰り返され、昨年秋の対策でも7万円の給付金が盛り込まれた。

 住民税の非課税世帯は、65歳以上の世帯が大半を占め、金融資産が多い高齢者にも恩恵が及ぶ。むしろ現役世代への支援を手厚くすべきだとの声も根強い。

 電気・ガス代への補助金制度を、来年1月から3月まで再開し、年内を期限としていたガソリン補助金を延長することも問題だ。

 こうした補助制度には既に、総額11兆円を超える予算が充てられた。財政を圧迫するだけではなく脱炭素の流れにも逆行しよう。

 物価高を克服して、日本経済を強化していくためには、脱炭素やデジタル化、人手不足を解消する省力化といった重要分野に、資金を活用していくことが大切だ。

 AI(人工知能)・半導体分野へは、30年度までに10兆円以上の支援を行うという。リスクを精査しながら着実に進めてほしい。

 対策には、年収103万円を超えると所得税がかかる「103万円の壁」の見直しも明記した。人手不足の緩和などの利点と財源確保策のバランスを考慮し、適切なあり方を検討してもらいたい。

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