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兵庫県の百条委 核心は公益通報への対応だ

読売新聞 / 2024年11月24日 5時0分

 出直し選挙で県民の信任を得たからといって、公益通報を巡る問題が解決したわけではない。徹底した調査で事実関係を明らかにし、再発防止に生かすことが重要だ。

 斎藤元彦・兵庫県知事のパワハラ疑惑などを調査している県議会の百条委員会が、出直し選で中断していた知事の証人尋問を再開させる。問題の核心は、公益通報を巡る知事らの初動対応だ。

 元県幹部は3月、知事の疑惑を記した文書を報道機関などに送り、その後、県の公益通報窓口にも同じ内容を伝えた。

 これに対し、斎藤氏ら県側は「怪文書」だとして告発者を特定し、懲戒処分にした。元県幹部は7月に死亡しているのが見つかった。自殺とみられている。

 公益通報は、組織の不正をただすために行われ、通報者については公益通報者保護法で、本人の特定や不利益な扱いが禁じられている。斎藤氏らの対応は、保護法の趣旨に反していた疑いがある。

 斎藤氏は、県側の対応に「問題はなかった」と主張している。

 だが、告発された知事本人が告発内容は事実でないと一方的に決めつけ、通報者を探し出して処分する行為は正常とは言えない。

 こんなことがまかり通れば、不正の内部告発など誰もできなくなってしまう。しかも、斎藤氏は県の最高権力者である。

 疑惑の調査は、百条委と県の第三者委員会、公益通報担当部署でそれぞれ進められている。特に百条委は、知事の権限から独立した県議会の機関であって、知事選の結果に左右される筋合いのものではない。厳正な調査が必要だ。

 懸念されるのは、その百条委の委員個人に対する誹謗ひぼう・中傷が相次いでいることだ。SNSで中傷された委員の一人は県議を辞職した。自身や家族の身の危険を感じたためだとされている。

 斎藤氏を応援するとして出馬した「NHKから国民を守る党」の立花孝志党首は、百条委委員長の自宅前で演説を行った。「出てこい」と声を上げ、インターホンを押す動画がネット上に投稿されている。委員長は「恐怖心を覚えた」と振り返っている。

 正当な調査活動をしゅくさせるような威圧的な言動は断じて許されない。法に触れるような行為があったのなら、刑事、民事の両面から責任を問う必要があろう。

 消費者庁は、公益通報者への不利益な対応に、刑事罰を導入することも検討している。通報者の保護は社会的な要請である。

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