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インド・ベンガル地方で大人気「チングリ・マライカレー」…ココナツとスパイスが絶妙です

読売新聞 / 2024年12月13日 9時53分

下に敷いたバナナの葉やトッピングのコリアンダーの緑色がアクセントになる

 インド東部の西ベンガル州と隣国バングラデシュにまたがるベンガル地方の料理は、ベンガル湾に注ぐ無数の川の下流にあるデルタ地帯の肥沃(ひよく)な土壌で育った米や魚介類が主役だ。中でも、ココナツベースのエビカレー「チングリ・マライカレー」が、人気が高い。

クリーミーな甘みの後、ほんのりとした辛さ

 州都コルカタにある人気店「オー!カルカッタ」では、果肉をかき出したココナツの実を皿代わりにして提供された。だいだい色のカレーをまず一口味わう。クリーミーな甘みの後、ほんのりとした辛さが広がった。

 地元の川で捕れたというエビの殻をむいて口に含むと、ぷりぷりとした身が食欲をそそった。細切りのジャガイモを揚げた付け合わせの「アルー・バジャ」をカレーや米と混ぜれば、さくさくとした食感も楽しめる。

 濃厚な味付けだが、調理時間は10分足らず。塩と赤唐辛子、ターメリックをまぶしたエビを鍋で溶かしたバターとあえ、色が変わったら皿にいったん移す。

シェフ「この食文化は我々の遺産」

 再び鍋にショウガと青唐辛子、タマネギペーストを加え、ココナツウォーターとタマネギの煮汁を注いで強火にして、エビを戻す。たっぷりのココナツミルクを加え、数分間かき混ぜれば完成だ。

 家族で訪れた地元の保健師アルナ・ダスさん(34)は「我が家の大好物。外食では大抵頼むし、簡単なので家でも毎週作っているわ」と話した。

 シェフのキンシュク・クンドゥさん(44)はホテルで西洋料理の担当だったが、スパイスや野菜などの素材を生かした味を再認識し、約10年前からベンガル料理に専念している。「我々の遺産であるこの食文化を世界に広めたい」と夢を膨らませている。

油をあまり使わない

 ベンガル料理は油をあまり使わない。スパイスは適量で、消化を助ける。淡水魚の切り身にマスタードペーストを塗り、バナナの葉に包んで蒸した料理は、ツンとした辛さと白身がよく合う。

東西に分割されたが…料理、言語は同じ

 「英領インド」として英国がインドの直接統治を始めた1858年からデリー(現ニューデリー)に遷都する1911年まで首都だったカルカッタ(現コルカタ)には、英女王を記憶するために建造された「ビクトリア記念堂」や教会などの欧州の趣を残した建物が現存している。

 ベンガル地方も同じ英領インドとして統治されてきたが、47年の独立の際に分割された。ヒンズー教徒が多数派のインド、イスラム教徒主体の東西パキスタンに分離されたからだ。

 ベンガル西部は西ベンガル州として、インドに組み込まれた。一方、東パキスタンとなったベンガル東部では、ベンガル人としての帰属意識が高まり、71年にバングラデシュとして独立した。

 別々の国となった今も、同州とバングラの人々は同じベンガル料理に親しみ、ともにベンガル語を話す。アジア初のノーベル文学賞受賞者で、コルカタ出身の詩人ラビンドラナート・タゴールがベンガル語で書いた詩はバングラ国歌に採用された。

 国内外の総支局長が、地域の自慢の味を紹介します。

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