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ススキノ切断遺体、殺害を通報しなかった母親「最愛の娘を突き出すことはできなかった」

読売新聞 / 2024年12月13日 7時0分

親子3人の裁判の状況

 札幌市ススキノ地区のホテルで頭部を切断された男性(当時62歳)の遺体が見つかった事件で、死体遺棄と死体損壊の各ほう助罪に問われた田村浩子被告(61)の第7回公判が12日、札幌地裁であった。弁護人の被告人質問が行われ、浩子被告は一人娘の瑠奈るな被告(30)(殺人や死体損壊、死体遺棄罪などで起訴)が男性を殺害したことを知っても通報しなかった理由を「最愛の娘を突き出すことはできなかった」と説明した。

 浩子被告が法廷で発言するのは、初公判(6月4日)の罪状認否で無罪を求めて以来。この日の質問は「男性と遺族への思い」から始まり、被告は「事件がなければ大切な人と過ごす時間が続いていた。取り返しのつかないことで、本当に深くおわび申し上げる」と小さな声で述べた。

 今回の事件で浩子被告が罪に問われたのは、瑠奈被告が頭部を自宅に保管(遺棄)することなどを容認し、その後の損壊行為を含めて容易にした(ほう助した)という点だ。一方の弁護側は「浩子被告の存在で『容易になった』とは言えない」と無罪を主張している。

 瑠奈被告は損壊を重ねた頭部を両親に見せつけていたといい、この日の質問で浩子被告は、当時の心境を「絶望的な気持ちだった。常軌を逸していることは明らかだった」と説明。同時に道警の捜査が自分たちに及ぶことも予想していたとし、「いずれ瑠奈が捕まることは分かっていたから、残された日々を娘と過ごしたかった」と振り返った。

 これまでの公判では、瑠奈被告が多重人格や統合失調症のような症状を示しながら自傷行為を繰り返し、両親も瑠奈被告を刺激しないことを最優先とする3人の暮らしぶりが明らかになっている。浩子被告は「娘の心の平穏が最も大切だった」とも述べ、「今も『通報しなくて良かった』と思っている」と続けた。

両親は保釈後別々に暮らす

 浩子被告の公判は今後、20日の次回で検察官と裁判官からの被告人質問などが行われ、証拠調べが事実上終了する。結審は来年2月頃を予定し、判決も年度内となる公算が大きい。

 来年1月14日からは「凶器の準備などを通じて殺害を手伝った」として、殺人ほう助罪などに問われた父親の精神科医・修被告(60)の裁判員裁判が始まる。浩子被告の公判と同様、瑠奈被告の言動や両親との関係が焦点になる見通しで、浩子被告の証人尋問の実施も決定しているという。

 両親はいずれも保釈が認められたが、口裏合わせを防ぐために「お互いの公判の法廷でしか会えない」という制約も設けられた。関係者によると、2人とも「事件現場の一つ」だった札幌市厚別区の自宅を離れ、別々に部屋を借りて生活しているという。

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