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韓国、大統領代行の首相もいばらの道…野党の「腰を90度に折り謝罪」要求に3度も深々と頭下げる

読売新聞 / 2024年12月14日 20時10分

ソウルで記者会見する韓悳洙首相(8日)=AP

 【ソウル=依田和彩】韓国の尹錫悦ユンソンニョル大統領の職務停止を受けて大統領代行に就任した韓悳洙ハンドクス首相は14日夕、ソウルの首相室で「国政の安定的な運営に全力を尽くす」と硬い表情で報道陣に述べた。内外に難題が山積し、野党から内乱を防げなかった責任を問われておりいばらの道が待ち受けている。

低姿勢

 これまで野党の攻撃に真っ向反論してきた韓氏だが、尹氏の戒厳令を契機に低姿勢に変わった。11日の国会本会議で質問に立った左派系最大野党「共に民主党」の議員から「腰を90度に折って国民に謝罪してください」と言われ、3度も深々と頭を下げた。韓氏は、3日夜の閣議で尹氏の戒厳令宣布に反対した。「(宣布を阻止できず)申し訳なく思い、強い自責の念を感じている」と述べた。

弾劾も

 警察は10日、宣布直前の閣議に出席した韓氏ら閣僚10人と趙太庸チョテヨン国家情報院長に出頭を要請している。

 「共に民主党」は韓氏も戒厳令宣布への関与を免れないとして弾劾訴追案を国会に提出することを検討している。

 仮に訴追案が可決され、職務が停止されると、韓国の政府組織法に基づき、崔相穆チェサンモク副首相兼企画財政相が職務を代行する。ただ崔副首相も警察の出頭要請の対象となっており、野党が今後追加で訴追案を提出して政府機能が停止していくシナリオも否定できない。

課題

 韓国大統領府によると、韓氏は国会の弾劾訴追議決書が大統領に伝達された時点で職務代行を開始した。職務代行体制になれば、国軍統帥権や条約締結批准権、法案の拒否権などの大統領権限を引き継ぐ。

 韓氏は尹氏の戒厳令宣布以降、混乱した国政の安定化に腐心してきた。

 今後、大統領代行として尹氏が進めてきた路線を継承するとみられるが、戒厳令宣布の影響を受けて悪化した経済の立て直しが急務のほか、国際社会での信頼回復のための外交も課題だ。

 来年1月には米国のトランプ時期大統領の就任を控えており、米韓同盟や日米韓3か国の協力などの重要性を確認する必要がある。

 2016年に弾劾訴追された朴槿恵(パククネ)元大統領の代行を務めた黄教安(ファンギョアン)首相は、トランプ氏が17年1月に就任した際、トランプ氏との電話会談に臨み、北朝鮮の核・ミサイル問題で連携を確認した。

 日本に厳しい姿勢を取る野党が政局を主導していく流れが強まる中、尹氏が進めてきた日韓関係の改善は困難となった。「日韓関係は当面、現状維持を目指すほかない」(日韓外交筋)局面に入ったといえ、韓氏は多方面で力量が問われそうだ。

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