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「B29が爆弾を雨のように落とした」…戦争証言「今のうちに」ユーチューブで発信

読売新聞 / 2024年12月31日 13時54分

 来年、戦後80年となるのを前に、川崎市の介護関係者有志が戦争を経験した高齢者の証言を動画で残す活動を始めた。ユーチューブに「先人の声」というチャンネルを作り、これまでに3本の動画を投稿。いずれも80歳代後半から90歳代の証言者が登場し、子ども時代の戦争体験や、戦後の混乱期を生き抜いた記憶などを語っている。(金子祥子)

 発案したのは、川崎市麻生区でケアマネジャーとして働く小泉悦子さん。仕事で関わりを持った高齢者の中には、戦争について断片的に話してくれていた人もいたが、そうした人が次々と年を重ねて亡くなっていくのに危機感を覚えていた。

 5年ほど前、「今のうちに話を聞いて、記録しなければ」と、区内で高齢者施設などを経営する山上剛史さん(42)に相談し、意気投合。本人の言葉を表情なども含めて伝えることができる動画で残すことを考えた。

 ただ、直後に新型コロナウイルスの感染が拡大し、活動は先送りに。実際にインタビューを開始したのは、一段落した昨年9月頃からだ。山上さんは防衛大学校で戦史を学んだ経験があり、「知識のある人が聞いた方がいい」と、毎回聞き手を担当。小泉さんも立ち会い、撮影は小泉さんの家族が担っている。

 10月に投稿した初回の動画には、小泉さんがケアマネジャーとして関わる一人で、同市麻生区の月野光雄さん(89)が登場する。1945年、父親の転勤で名古屋郊外に住んでいたといい、動画の中では「B29爆撃機が、飛行機を作っていた名古屋の工場に爆弾を雨のように落としていった」などと当時の記憶を話している。

 月野さんはこれまで、「自分が話しても、子どもたちは何も実感してくれないだろう」と思っていたが、「ウクライナやガザと同じ状況が、日本にもあった。戦争のことを話せる人がいなくなっていく今、文字で読むよりも実体験を聞いてほしい」と、撮影に応じたという。

 現在は地域紙などを通して活動内容が徐々に知られるようになり、「自分の戦争体験も残したい」と依頼を受けることもあるという。山上さんは「戦争について知る機会がどんどんなくなっている今、声を残すことが何かの役に立てばいい」と話す。小泉さんは、「どうやって戦争のない世界を築くか、動画が考えるきっかけになれば」と願っている。

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