気候変動の金融リスクに誇張、ＨＳＢＣ幹部発言が物議

５月２０日、 英金融大手ＨＳＢＣで持続可能な投資を統括する幹部の発言が物議を醸している。メキシコシティのHSBC社屋前で２０１２年７月撮影（２０２２年　ロイター/Tomas Bravo）

［ロンドン　２０日　ロイター］ - 英金融大手ＨＳＢＣで持続可能な投資を統括する幹部の発言が物議を醸している。中央銀行の政策立案者ら世界の当局者は気候変動の金融リスクを誇張しているとの見解を示したことが環境活動家の批判を招き、ＨＳＢＣは火消しに動いている。

ＨＳＢＣの責任投資部門の責任者であるスチュアート・カーク氏は１９日、イベントでのプレゼンテーションに関連したスライドの中で、国連やイングランド銀行（英中銀）などの機関がリスクを警告する文言を引用しつつ、「根拠がなく、騒々しく、党派的、自己中心的、終末論的警告は『常に』間違っている」と書き込んだ。

同氏は、こうした警告は自身のチームとＨＳＢＣ全体が気候リスクへの対処に不釣り合いな時間を費やしていることを意味すると発言。インフレが進行しているのに、２０年後、３０年後に起こるであろうことに何度も何度も時間を割けと言われるのは釈然としないとした。

ＨＳＢＣアセット・マネジメントはカーク氏の発言について、自社の見解を表すものではないと表明。「ＨＳＢＣは気候変動を、地球が直面している最も深刻な緊急事態の一つと見なしている」とした。