韓国の対中輸出、2月1─20日は3.7％減 新型ウイルスの影響で

２月２１日、韓国の税関統計によると、２月１─２０日の輸出は、金額ベースで前年同期比１２．４％増加した。写真は仁川港で船に積まれたコンテナ。２０１６年９月撮影（２０２０年　ロイター/Kim Hong-Ji）

［ソウル　２１日　ロイター］ - 韓国の税関統計によると、２月１─２０日の中国への輸出は、前年同期比３．７％減少した。新型コロナウイルスの感染拡大によってサプライチェーンが混乱し、世界的に需要が打撃を受けているため、対中輸出は今後数カ月間にさらに減少する可能性がある。

同期間の全体の輸出は金額ベースで前年同期比１２．４％増加した。ただ、増加は前年同期の営業日が少なかったことが主な要因。

１営業日当たりの平均輸出額は９．３％減少し、２月１─１０日の３．２％減から減少幅が拡大した。新型ウイルス流行が海外需要への打撃となった。

税関当局者は統計発表後、季節調整後ベースで「１営業日当たりの中国向け輸出額は恐らくさらに悪かった」との見方を示した。

韓国スタンダードチャータード銀行のエコノミストは、旧正月の時期のずれで営業日が昨年よりも３日多かったため、全体の輸出は増えたと指摘。「重視すべきは１営業日当たりの平均輸出額で、ウイルス流行を背景に韓国の輸出は大幅に減少した。今後数カ月間に状況は悪化するだろう」と述べた。

韓国では２０日、新型コロナウイルスの感染者で初の死者が出た。また、感染者数も大幅に増えた。

２月１─２０日の輸出は、中国向けのほか、シンガポール向けも減少した。一方、米国向けは２４．２％、ベトナム向けは１９．８％、それぞれ増加した。アナリストは、韓国製品が急速に中国製品の代替になりつつあると指摘した。

製品別では、メモリーチップの輸出が１５．４％増、自動車部品が４０．６％増となった。船舶の輸出は２９％減少した。

文在寅大統領は２１日、韓国経済は「緊急事態」にあるとし、新型ウイルスの感染拡大による影響を食い止めるための対策を月内に発表すると述べた。

同国では新型ウイルスの感染者が新たに５２人確認され、累計では１５６人となった。ソウル市は集会や教会の礼拝などを禁止した。

メリッツ証券のエコノミストは「新たな感染の急増は、韓国の製造業にとって極めて大きなリスクだ。たとえば半導体工場で労働者１人が感染すれば、いくつもの工場が閉鎖される」と指摘した。

半導体大手ＳＫハイニックス<000660.KS>は２０日、研修生の１人が大邱で新型ウイルス感染者と濃厚接触したことを受け、従業員８００人前後が自宅待機していることを明らかにした。

一方、現代自動車<005380.KS>は中国から輸入している部品が不足しているため、徐々に国内生産に切り替える方針を示した。