焦点:ビットコイン、再び最高値圏 市場成熟でも決済利用遠く
ロイター / 2020年11月21日 10時47分
[ロンドン 18日 ロイター] - 代表的な暗号資産(仮想通貨)のビットコインの価格が2017年に記録した過去最高値に迫りつつある。ビットコイン推進派の人々は、今回の上昇局面は、熱狂した個人投資家の関与が減っているので、かつてのような暴落が起きる公算は乏しいと期待している。しかし決済手段としてはまだほとんど使われず、金融市場全般に対する世界的な不透明感も広がっているため、ビットコインは安全な投資先とは到底言えない、とアナリストは警告する。
「以前の事態とは異なる要素がたくさんある」と語るのは仮想通貨メディア、ザ・ブロックの調査ディレクターのラリー・サーマク氏だ。「価格は着実に上がり、個人の参加はほとんど見られず、市場は流動性がずっと高まり、機関投資家にとってはるかに利用しやすくなっている。とはいえ、今のところ非常にリスクが大きい」という。
ビットコイン
この勢いは17年に匹敵する。当時は、個人投資家の買いが広がって一時2万ドル近くに跳ね上がった後、1カ月後には半値未満に落ち込んだが、現在は有効に機能するデリバティブ市場や、既存の大所の金融機関による保管サービスなど、インフラ環境は比べものにならないほど整っている。
例えば17年12月に始まったCMEグループ
一方、フィデリティ・インベストメンツや野村ホールディングス<8604.T>といった大手金融機関は、ビットコインその他仮想通貨について、機関投資家向けの保護預かりサービスを開始している。
仮想通貨データを扱うメサリのライアン・セルキス最高経営責任者(CEO)は「市場の成熟度という面では17年と今とでは全く比較にならない。当時はデリバティブとクレジット市場はほとんどなく、機関投資家向け保護預かりは存在しなかった」と話す。
この種のインフラ登場により、ヘッジファンドからファミリーオフィスに至るまでの機関投資家が、仮想通貨投資に向かいやすくなった。
ブロックチェーンのソフトウエアを手掛けるクリアマトリクスの市場情報責任者ティム・スワンソン氏は「3年前とは使い勝手が一変したため、仮想通貨市場に積極的に参入しようとする投資家の層が広がっている」と語る。機関投資家が市場に加われば、流動性はより分厚くなり、価格変動は小さくなると考えられる。
規制面では、仮想通貨は依然として対象となっていない部分が大半だが、反マネーロンダリングなどの分野で国際基準が導入されており、大口投資家に道を開いている。
また先月には、決済サービス大手ペイパル・ホールディングス
足元では、政府や中央銀行が新型コロナウイルスのパンデミック対策として大規模な財政・金融政策を打ち出し、市場のリスク志向が強まってビットコイン価格が支えられているという点も、17年との違いだ。推進派は、ビットコインの供給上限が2100万と決まっていることが、インフレを促進する政策に対するヘッジになると主張している。
仮想通貨ファンドのデジタル・アセット・キャピタル・マネジメントのリチャード・ガルビン氏は、こうした話を総合してみると、より原則に忠実な考え方をする投資家を含めて、ビットコインの価格設定に参加できる層は広がる余地があると指摘した。
もっともインフラが改善し、主流投資家に認知されるようになってもなお、ビットコインの値動きは安定していない。仮想通貨セクターは引き続き不透明で、従来の金融市場に比べれば規制が緩く、取引データは不ぞろいで、相場操縦への懸念がまん延しているからだ。
仮想通貨コンサルタントのコリン・プラット氏は「要するに、ビットコインはリスク性が高い市場で、リスク性が高い資産だということだ」と言い切った。
さらにこれだけビットコインの取引が活発となっても、本来目指したような使われ方をほとんどされていない。AJベルの投資ディレクター、ラス・モールド氏は「採掘と使用にかかるコストや、カードやスマートフォンによる非接触型電子決済が安心して使えるようになったことを踏まえると、ビットコインが『通貨』として幅広く利用されるという保証はない」と述べた。
(Tom Wilson記者 Anna Irrera記者)
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