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アングル:ユーロ圏国債の投資リターン、来年は今年ほど膨らまず

ロイター / 2020年12月22日 5時30分

ユーロ圏国債は2021年は今年ほど大きな投資リターンはもたらさないとの見方が大勢だ。フランクフルトのECB本部で2016年3月撮影(2020年 ロイター/KAI PFAFFENBACH)

[ロンドン 21日 ロイター] - ユーロ圏国債は2021年は今年ほど大きな投資リターンはもたらさないとの見方が大勢だ。ただ市場では、欧州中央銀行(ECB)の措置で利回り上昇が抑制されるだけでなく、ユーロ圏南部諸国のリスクプレミアムが一段と緩和されるとの確信は揺らいでいない。

また、金融刺激策縮小の観測から国債に売りが出る「テーパー・タントラム」が来年中に発生するリスクは小さいとの見方も出ている。

新型コロナウイルスワクチンが普及し、社会全体が正常化するとの見通しから、ECBはユーロ圏の21年の経済成長率が3.9%になると予想。ロイターが実施したアナリスト調査では、独10年債利回りは現在のマイナス0.6%から向こう1年でマイナス0.3%近辺まで上昇するとの見方が示された。

ただ、アムンディの債券部門責任者、エリック・ブラード氏は「来年はある程度ボラティリティーが出る可能性があるが、基本的に利回りは今年と同様、低水準にとどまる」と述べた。

独国債利回りは今年1月のマイナス0.16%から3月にマイナス0.91%に低下。現在はマイナス0.6%近辺にある。

ユーロ圏南部のスペイン、イタリア、ポルトガル、ギリシャなど格付けが低い国では、ECBの刺激策のほかEU共同債が支援となり、国債利回りはより大きく低下。イタリア10年債利回りは年初から約90ベーシスポイント(bp)低下したほか、ポルトガルとスペインの10年債利回りは約50bp低下し、ともにこのほどマイナス圏を付けた。

市場関係者は南欧諸国の国債利回りについて、ペースが鈍化するものの今後も低下し続け、独連邦債との利回り格差の縮小は続くと予想。ジェネラリ・インベストメンツのシニア債券ストラテジスト、フロリアン・スペート氏は「利回り追求の動きと、ECBが南欧諸国の支援を続けるとの期待が相まって、今年ほどではないものの、ユーロ圏周辺国の国債利回りは低下する」と述べた。

イタリアとドイツの10年債利回り格差は年初から40bp縮小。現在は110bp近辺にある。スペート氏は、100bpまで縮小した後、21年末までに105─110bpに戻すとの見方を示した。

独伊30年債利回り格差について、サクソバンクの債券ストラテジスト、アルセア・スピノッツィ氏は、現在の160bp近辺から120bp近辺まで縮小すると予想。約10%の資本増加に相当するとしている。

<テーパー・タントラム?>

現在、利回りがマイナス圏にあるユーロ圏国債は全体の約4分の3と、過去最高に達している。ギリシャでさえ5年債利回りがゼロ%に接近。こうした中、金融刺激策縮小の観測から国債に売りが出るテーパー・タントラムが発生するリスクはあるのだろうか。

プライム・パートナーズの最高投資責任者(CIO)、フランソワ・サバリー氏は、来年に利回りが上向くとの見方に賛同しながらも、来年中にテーパー・タントラムが発生する確率は20%にとどまると予想。「景気回復の見通しは来年下半期まで明確にならないため、タントラムは来年ではなく22年に発生する」と述べた。

こうした見方はECB次第だ。ECBは大規模な債券買い入れを実施。今月10日の理事会でパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の拡充を決定した。

HSBCのアナリストは「ECBの買い入れはイタリアなどのスプレッド拡大阻止に向けたバックストップ(安全策)になる」としている。

(Dhara Ranasinghe記者)

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