ECB理事会後のラガルド総裁発言要旨
ロイター / 2021年1月22日 0時47分
欧州中央銀行(ECB)は21日、定例理事会を開き、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い導入した大規模な量的緩和(QE)の維持を決定した。写真は会見するラガルド総裁。昨年3月撮影(2021年 ロイター/KAI PFAFFENBACH)
[フランクフルト 21日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は21日、定例理事会を開き、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い導入した大規模な量的緩和(QE)の維持を決定した。政策金利も据え置いた。
理事会後のラガルド総裁の記者会見での発言は以下の通り。
<EU・英合意は心強い>
世界経済見通しに絡む明るいニュース、欧州連合(EU)と英国の将来の関係を巡る合意、新型コロナワクチンの接種開始は心強い。しかし、パンデミック(世界的大流行)の継続と経済・金融状況への影響は引き続き下方リスクの根源となっている。
<ワクチン接種の展開>
ユーロ圏におけるワクチン接種の開始は、公衆衛生上の危機終息に向けた重要な節目だ。しかし、パンデミックの継続は依然、公衆衛生だけでなくユーロ圏および世界経済に深刻なリスクを及ぼす恐れがある。さらに、幅広い免疫の獲得には時間がかかり、パンデミックによる悪影響が拡大する可能性を排除できない。
<慎重な消費動向>
財政政策措置が引き続き家計や企業を支援ししているものの、パンデミックの継続や雇用や収益への影響を踏まえ、消費動向は慎重となっている。
<第1・四半期の経済活動は圧迫される>
入手される経済指標や調査、(早い周期で経済情勢を測る)ハイフリークエンシー指標によると、パンデミック再拡大や制限措置強化が2020年第4・四半期の経済活動を減退させた公算が大きく、第1・四半期の経済活動も圧迫される見通しだ。
<設備投資>
企業のバランスシート悪化や経済見通しの不確実性が引き続き設備投資の重しになっている。
<下向きリスクは顕著ではない>
ユーロ圏の成長見通しを取り巻くリスクは引き続き下向きに傾いているが、顕著ではない。
<高い不確実性>
パンデミックの動向やワクチン接種キャンペーンの展開スピードなど不確実性は依然として高い。
<為替レートを注視>
為替レートの動向が中期的なインフレ見通しに与える影響について引き続き注視していく。全ての政策手段は調整可能で、いかなる選択肢も排除されていない。
<下向きの経済リスク>
2020年第4・四半期の生産は縮小した可能性が高く、パンデミックの激化は短期的な経済見通しに下振れリスクをもたらす。
<低調なインフレ率の長期化>
パンデミックの経済への影響が短期的に顕著で、低調なインフレ率が長期化するとの見方は今後の経済指標で確認される。
<経済活動の妨げ>
新型コロナウイルス感染者が再び急増し、封じ込めに向け多くのユーロ圏諸国で課せられた制限措置の延長が経済活動を妨げている。
<サービス業は深刻に抑制>
製造業の活動は引き続き良好だが、サービス業の活動は2020年前半のパンデミック第1波時よりも程度は軽いものの深刻に抑制されている。
<資金調達状況はおおむね良好>
われわれは特定の利回りにこだわるのではなく、経済の資金調達に関する複数の指標を考慮しており、それらの指標を多面的かつ全体的に評価した上で、現在の資金調達状況はおおむね良好であると考えている。
<物価はなお極めて脆弱>
インフレ率はなお極めて脆弱で、需要の低迷や労働市場のスラック(緩み)、ユーロ高に伴って域内物価は引き続き抑制される見込みだ。
<EU基金の加速を>
理事会は加盟国に対し、批准プロセスを加速し、復興計画を速やかに完成させ、生産性を高めるような構造政策を伴う公共支出に向けて資金を展開するよう求める。
<デジタルユーロ導入には時間>
デジタルユーロを巡る見通しについては控えめに話したい。導入には長い年月がかかるだろう。複雑な問題で、既存の金融環境や金融政策の効果を阻害せずに実現する必要がある。
<紙幣の利用は継続>
デジタルユーロが導入されることになっても、紙幣の利用は継続する。デジタル通貨と既存の紙幣や硬貨は共存する。
<財政刺激>
パンデミックによる経済成長や物価、インフレへの下方リスクを阻止するため、金融および財政双方で緩和継続が必要だ。
<イエレン氏の前途を祝福>
同僚かつ友人であるジャネット・イエレン氏による米経済を包括的かつ如才なく主導する今後の取り組みが実り多いものとなるよう祈る。
この記事に関連するニュース
-
ECB総裁ら、緩やかな利下げに前向き 「トランプ関税」の影響警戒
ロイター / 2025年1月22日 20時21分
-
FRB当局者、インフレ鈍化継続との見方 トランプ氏政策見極めへ
ロイター / 2025年1月16日 8時25分
-
NY連銀総裁「金融政策はデータ次第」、政府巡る不確実性で
ロイター / 2025年1月16日 5時20分
-
25年は世界の安定成長とディスインフレ継続へ=IMF専務理事
ロイター / 2025年1月12日 13時24分
-
2024年12月のマーケットの振り返り【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフリサーチストラテジスト】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2025年1月8日 9時35分
ランキング
-
1これからの日本に本当に必要な株式市場とは何か 投資量を増やし株価を膨らませても意味がない
東洋経済オンライン / 2025年1月25日 8時30分
-
2「お金貯め込みすぎた高齢者」が失う"3つの幸福" 「お金を使わない」のは本当に"いいこと"なの?
東洋経済オンライン / 2025年1月25日 7時0分
-
3年金19万円で暮らす79歳父を襲った突然の病。献身的に介護を続けた52歳・1人息子だったが、重すぎる負担に吐血…親子共倒れを決定づけた「致命的な判断ミス」【CFPの助言】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2025年1月25日 7時15分
-
4中居さん引退で続出「番組サイトの削除」の違和感 オールドメディア批判加速、業界の倫理観が議論に
東洋経済オンライン / 2025年1月25日 8時30分
-
5この1年で「売れた・売れなくなった商品」トップ30 物価高が続く中で人々は何を買っているのか調査
東洋経済オンライン / 2025年1月25日 7時50分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください