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ゼレンスキー氏が来日、G7広島サミット 首脳声明で中国に懸念

ロイター / 2023年5月21日 10時7分

ウクライナのゼレンスキー大統領が20日午後、主要7カ国首脳会議(G7サミット)に参加するため広島市に到着した。G7は直後にサミットの成果をまとめた首脳声明を発表し、ロシアの侵略を受けるウクライナへの支援を続けることを改めて表明した。代表撮影(2023年 ロイター/Jonathan Ernst)

[広島市 21日 ロイター] - ウクライナのゼレンスキー大統領が20日午後、主要7カ国首脳会議(G7サミット)に参加するため広島市に到着した。G7は直後にサミットの成果をまとめた首脳声明を発表し、ロシアの侵略を受けるウクライナへの支援継続を改めて表明した。声明は中国について分量を割き、同国に西側諸国の懸念を直接伝え、安定した関係を構築する用意があると盛り込んだ。

ゼレンスキー大統領は同午後3時半過ぎにフランスの政府専用機で広島空港に到着し、木原誠二官房副長官らが出迎えた。すでにイタリアのメローニ首相やスナク英首相、インドのモディ首相と会談しており、サミット最終日の21日は、ウクライナに焦点を当てた討議に参加する。米国や欧州諸国は、ウクライナが防空強化のために求めていたF16戦闘機を供与する方向で調整している。

ゼレンスキー大統領は同午後3時50分、ツイッターに「日本。G7。ウクライナの盟友、友人たちとの重要な会議」、「平和が近づく」と投稿した。

ゼレンスキー氏の広島サミット参加を巡っては、岸田文雄首相が3月にウクライナを訪問した際にオンライン形式で出席することで合意していたが、戦況が長引く中で大統領が対面参加に強い希望を表明したという。磯崎仁彦官房副長官はゼレンスキー氏の対面参加について「ウクライナが置かれた厳しい状況について直接話を聞き、G7が一致して厳しい対ロ制裁と強力なウクライナ支援を継続していくことを改めて確認するとともに、ウクライナへの揺るぎない連帯を表明する機会としたい」と語った。

7カ国はゼレンスキー氏が日本に到着後ほどなく、サミットの成果を首脳声明として発表した。ロシアの侵攻が続く限りウクライナを支援し続けるほか、「核なき世界」の実現に向けて核不拡散の取り組みなどを強化することを盛り込んだ。

中国を巡っては、経済大国の同国を切り離す(デカップル)わけではないと強調。他方、同国への依存を低減していく必要性があるとした。人権問題に加え、東シナ海、南シナ海情勢に懸念を示し、「力や威圧による一方的な現状変更の試みに強く反対する」とした。また、緊張が高まる台湾海峡について、平和と安定が国際社会にとって重要だとした。ウクライナから即時無条件で撤退するようロシアに圧力をかけることも求めた。

<「経済的威圧」に対抗、中国名指しせず>

G7首脳はこの声明とは別に、2日目の討議テーマだった経済安全保障について文書を発出。経済的な優位性を利用して相手国を脅す「経済的威圧」への対抗策を盛り込んだ。調整の過程では中国の「経済的威圧」に対する懸念を盛り込む方向で検討されていたが、特定の国を名指しすることは避けた。

首脳らは同文書で、経済の脆弱性、依存関係を悪用するなど威圧の事案が増加していると非難。全ての国に対してその使用を控えるよう求めた。「経済的威圧に対する調整プラットフォーム」を立ち上げ、連携を強化すると表明した。G7以外の諸国とも協力していく方針を示した。

声明は、供給網(サプライチェーン)の強化にも言及。新型コロナウイルスの大流行とロシアによるウクライナ侵略が世界の供給網が脆弱なことを浮き彫りにしたと指摘した。重要物資の供給を「人質」に取るような行為に断固反対する姿勢を示した。透明性や安全性、持続可能性、信頼性など、供給網に不可欠な原則を共有する国々で、重要鉱物や半導体・蓄電池などの供給網を構築、強化していくとした。

<拡大会合で地球規模課題を議論>

同日午前は、「グローバルサウス」と呼ばれる国々に対し、G7として関与を強化していくことで一致した。岸田首相は、様々なニーズにきめ細やかに対応するアプローチを取ることが重要だと指摘。G7広島サミットの成果を20カ国・地域(G20)との連携につなげていきたいと述べた。

グローバルサウスはアジア、アフリカ、中南米などに多い。ウクライナ侵攻を巡ってG7をはじめとする西側諸国と、ロシア・中国で分断・対立の様相を呈している中、グローバルサウスの中にはどちらの陣営につくのか鮮明にしていない国もある。

G7サミットには、代表格のインド、ブラジル、インドネシアなどを招待している。この日は招待国首脳を交えた拡大会合を実施し、エネルギーや気候変動問題など地球規模課題も議論した。

磯崎副長官によると、岸田首相は同セッションで、多様な道筋を描きつつ温室効果ガス排出量ネットゼロという共通のゴールを目指す、「一つの目標、多様な道筋がキーワードだ」と発言した。

首脳間では、エネルギー安全保障、気候危機、地政学リスクを一体的に捉え、再生エネルギーや省エネルギーの活用を最大限導入しつつ、経済成長を阻害しないよう各国の事情に応じて目標達成を目指すという共通認識を形成したと語った。

<クアッド首脳会議、連携を再確認>

G7サミットに合わせて、日米豪印4カ国による連携の枠組み「クアッド」の首脳会議が20日夜行われ、「自由で開かれたインド太平洋」構想への関与を再確認する、とした共同声明を出した。

中国を名指しすることは避けたものの、インド太平洋地域の平和と安定維持に強い決意を表明し、力や威圧により現状変更を試みる一方的な行動に強く反対する、とした。

東シナ海、南シナ海において海洋秩序に対する挑戦に対抗するため、国際法の順守、航行・上空飛行の自由の維持の重要性を強調した、とも記した。

ロシアの軍事侵攻に関しては、「ウクライナで生じている戦争に対して深い懸念を表明し、その恐ろしい悲劇的な人道的帰結を悼む」と明記した。核兵器の使用やその威嚇は深刻であり、許されないことで一致した。加えて、経済的な影響についても触れ、食料や燃料、エネルギー安全保障、重要なサプライチェーンへの深刻な影響を認識する、とした。

北朝鮮の弾道ミサイル発射、核兵器開発については、国際社会の平和と安定に対する重大な脅威として、名指しで非難した。さらなる挑発行為を控えるとともに、実質的な対話を行うよう要求。拉致問題の即時解決も求めた。

(杉山健太郎 編集:橋本浩、久保信博)

*動画を更新して再送します。

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