米のコロナワクチン輸出、主に中南米へ 国内で接種一巡=関係筋
ロイター / 2021年5月21日 11時15分
5月21日 米国で製造される新型コロナウイルスワクチン数百万回分が数週内に中南米の国々に輸出される見通しであることが、事情に詳しい関係者2人の話で明らかになった。国内のワクチン接種が一巡したのを受け、米国は最大の輸出国に浮上しつつある。写真は3月19日撮影(2021年 ロイター/Dado Ruvic/Illustration)
[20日 ロイター] - 米国で製造される新型コロナウイルスワクチン数百万回分が数週内に中南米の国々に輸出される見通しであることが、事情に詳しい関係者2人の話で明らかになった。国内のワクチン接種が一巡したのを受け、米国は最大の輸出国に浮上しつつある。
関係者によると、米政府は輸出すると表明した国内産ワクチン8000万回分について、米大陸の国々への優先供給を検討している。
政府の計画とは別に、米ファイザーは米国で製造するコロナワクチンを中南米を中心に輸出し始めた。2人目の関係者が語った。同社が独ビオンテックと共同開発したワクチンの米国内の生産量は国内の需要を上回っており、週当たり約1000万回分を輸出向けに生産している。
ファイザーは米ミシガン州の生産施設からカナダやメキシコ、中南米の約10カ国に向けて出荷していると関係者は語った。同社のワクチンを最近輸入した国々にはブラジル、コスタリカ、エクアドル、ペルー、ウルグアイが含まれた。
中南米は同社の生産施設に地理的に近いほか、同社が低中所得国への供給拡大を目指していることが背景にあるという。
一方、米政府は国外への供給を表明したワクチンの配分方法をなお検討している。関係者によると、米大陸の国々に優先して供給するのは米国民の利益に合致するため、検討中の選択肢の1つになっている。
別の関係者は、配分は疫学の観点から行い、流行地を反映して調整できるよう地域的な柔軟性を持たせる見通しだと説明した。
米国の国際コロナ対応調整役、ゲイル・スミス氏は19日、コロナワクチン輸出計画について、かなりの量が世界保健機関(WHO)主導のワクチンの公平な分配を目指す国際的な枠組み「COVAX」を通じて実施する見通しと明らかにした。
バイデン米大統領は17日、米国で緊急使用を承認しているファイザー・独ビオンテック、モデルナ、ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)各社のワクチン少なくとも2000万回分を6月末までに国外に供給すると発表。これに加え、米政府はアストラゼネカ製ワクチン6000万回分の供給も計画している。
米国では成人の6割以上が最低1回のワクチンを既に接種。感染拡大が深刻なインドやブラジルなどはワクチン調達に苦戦している。ロイターの統計で1日当たりの新規感染者平均が6万5000人近くに上っているブラジルでは、接種率が約13%にとどまっている。
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