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豪外相、ビクトリア州と中国の契約撤回は「国益」念頭

ロイター / 2021年4月22日 18時53分

 オーストラリアのペイン外相(写真)は中国の広域経済圏構想「一帯一路」に関連してビクトリア州政府と中国が締結した2件の契約を撤回したことについて、「国益」を念頭に国内における外交関係の一貫性を確保するためで、特定の国を標的にした決定ではないと説明した。2020年7月、米ワシントンで撮影(2021年 代表撮影)

[シドニー 22日 ロイター] - オーストラリアのペイン外相は22日、中国の広域経済圏構想「一帯一路」に関連してビクトリア州政府と中国が締結した2件の契約を撤回したことについて、「国益」を念頭に国内における外交関係の一貫性を確保するためで、特定の国を標的にした決定ではないと説明した。

同相は前日に決定を発表。在オーストラリア中国大使館は「強い不快感と断固とした反対」を表明し、「オーストラリアが新たに中国に対し理不尽かつ挑発的な行動を取った」と批判していた。

ペイン外相は22日のABCラジオの番組で、複数の外国政府との取引に関して、各州から1000件の通知を受けているが、新たな制度の下で自身にはこれらの取引を撤回する権限があると指摘。

「この制度はオーストラリアの国益を重視しており、国内全体の外交関係の一貫性を確保するのが狙いで、決して特定の国を標的にしたものではない」と語った。

中国は21日夜の決定発表前に通知を受けていた。

同相は、オーストラリアは中国との関係にコミットしており、「世界各国に対し豪政府の意思決定権を尊重するよう求めている」と述べた。

モリソン首相は撤回の理由について記者団に、オーストラリアの外交政策に相反する協定を他の政府機関が結ぶことを望まないためと説明。「自由で開かれたインド太平洋地域」で国益を追求していくと語った。

オーストラリア政府は「一帯一路」に関連した国レベルでの覚書締結に合意しなかったが、ビクトリア州のアンドリュース首相は同州への中国投資促進につながるとして2018年と19年に同構想を推進する契約を締結した。

中国外務省の汪文斌報道官は定例記者会見で「オーストラリアは1000件を超える合意を見直し、撤回したのは4件だけで、そのうち2件は中国との間で結ばれたものだ」と指摘し「特定の国を標的としてないとの主張は成り立たない」と批判した。

汪氏はオーストラリアが誤った道を進んで、既に緊張状態にある中豪関係をさらに悪化させることがないよう求めると述べた。

シドニー大学ビジネススクールのハンス・ヘンドリシュケ氏はオーストラリアの契約撤回について、プロジェクトは始まっていないため商業的な影響はほとんどないとの見方を示した。

<ファイブアイズ>

ペイン外相はまた、ニュージーランド(NZ)のマフタ外相との会談後に記者団に対して、われわれの地域や世界における中国の対外的関与の本質がここ数年変化していることを認識する必要があり、永続的な協力関係のためにはそうした新たな現実に適応することが重要と述べた。中国はオーストラリアとNZにとり最大の貿易相手国。

NZのマフタ外相は22日、米英豪カナダと機密情報を共有する「ファイブ・アイズ」について、重要な枠組みだと認識しているものの、人権問題を取り上げるのにふさわしい場かどうかは疑問との考えを再度示した。マフタ外相はこの見解を19日に最初に示したが、中国を批判したファイブ・アイズの直近共同声明に言及したものと受け止められている。

ペイン外相は、ファイブ・アイズは重要な戦略的同盟であり、オーストラリアは自由で民主的な同盟国との強力関係を強める意向だと述べた。

両国は共同声明を発表し、中国には言及せず「地域の安定と繁栄を支えてきた自由主義的な国際秩序を維持し、規模に関わらず全ての国が正当な利益を自由に追求できる持続可能な地域バランスを作るため、共に協力する意向を再確認した」と表明した

さらに、人権や気候変動の問題に対応するため、地域および全世界で連携した取り組みを行うことが必要だとの認識で一致した。

オーストラリアが新型コロナウイルスの起源を巡る国際調査を呼び掛けて以来、中国との関係は悪化している。

*豪首相と中国外務省報道官の発言などを追加しました。

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