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クアルコムのインテル買収提案、反トラスト法やファウンドリに懸念

ロイター / 2024年9月24日 2時43分

米半導体大手クアルコムが同業の米インテルの買収に向けた初期段階の提案をしていると、20日に報道された。2023年5月撮影(2024年 ロイター/Dado Ruvic)

Aditya Soni Yuvraj Malik

[23日 ロイター] - 米半導体大手クアルコムが同業の米インテルの買収に向けた初期段階の提案をしていると、20日に報道された。インテル買収はスマートフォン用半導体を得意とするクアルコムの事業多角化を加速させる期待がある一方、インテルの赤字に陥っている半導体製造部門の立て直しや売却に苦労する懸念がある、とアナリストらは分析している。

2つの主要メーカーという業界史上最大となる買収が実現すれば、スマートフォン、パソコン、サーバー市場で大きなシェアを持つ巨大企業が誕生するため、世界的に厳しい反トラスト法(独占禁止法)の審査に直面することになる。

買収に関する報道を受け、インテルの株価は23日早朝の取引で3%上昇した。一方、クアルコムの株価は下落した。

TECHnalysis Researchのボブ・オドネル氏は「クアルコムとインテルは補完的な製品ラインアップを多数抱え、ある程度は合理的だ」と指摘。「ただ実際にそれが実現する可能性は非常に低い。また、クアルコムがインテルの株式を全て取得するとは考えにくく、現時点で製造事業と半導体受託製造(ファウンドリ)事業を切り離すことは不可能だ」と述べた。

かつては半導体業界の盟主だったインテルは、ファウンドリ事業で世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)に対抗するために構築中の受託生産部門で損失が膨らみ、最悪の時期を迎えている。

インテルの時価総額は、オープンAIへの投資を見送ったことで生成AIブームに乗り遅れたため、30年ぶりに1000億ドルを下回った。クアルコムの時価総額約1900億ドルの半分以下に沈む。

6月23日時点でクアルコムの現金および現金同等物は約77億7000万ドルで、アナリストらは買収資金の大部分は株式で賄われると予想する。クアルコムの投資家にとっては株式が大きく希薄化しかねず、懸念が高まる可能性が高い。

アップルにも半導体を供給するクアルコムは、クリスティアーノ・アモン最高経営責任者(CEO)の下、主力のスマートフォン事業のほか、自動車やパソコン向けなどにも供給を拡充する構えだ。しかし、依然としてモバイル市場の依存度が高く、新型コロナウイルス禍以降の需要低迷で、近年苦戦している。アモン氏自身がインテルとの交渉に直接関与しており、買収案をさまざまな形で検討していると、関係者がロイターに語った。

インテルはパソコンやデータセンターを動かす半導体を設計・製造しているが、クアルコムは製造工場を運営した経験がない。TSMCなどのファウンドリに委託するほか、アーム・ホールディングスから提供される設計やその他の技術を利用している。

アナリストは、クアルコムにはインテルのファウンドリ事業の拡大に必要なノウハウが不足していると指摘する。バーンスタインのステイシー・ラスゴン氏は「なぜクアルコムがこれらのより良い所有者になるかが分からない」と述べた。「他の企業はどこもこうした事業を運営したいとは思わないだろうし、これらの事業を廃止することは政治的にも不可能だ」とも強調した。

インテルのファウンドリ事業は、国内の半導体製造を拡大するという米政府の目標にとって極めて重要とみられている。インテルは、米国の4つの州に工場を建設・拡張するため、「CHIPS法」に基づき連邦政府から約195億ドルの補助金と融資を得ている。ファウンドリ事業の分社化方針を踏まえ、インテルは売却ではなく外部からの投資を望んでいるとするアナリストもいる。

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