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タイ憲法裁、度重なる政治介入=「独立機関でない」との指摘

時事通信 / 2024年8月27日 17時6分

 【バンコク時事】タイ憲法裁判所は8月、選挙で躍進した革新系の政党を解党し、1週間後には首相を失職させた。軍などの保守派と対立する勢力を排除する司法の政治介入はこれまでも繰り返されており、識者は「憲法裁は独立機関ではない」と指摘する。

 憲法裁は8月7日、昨年の下院総選挙で第1党となった前進党に対し、解党と幹部の10年間の政治活動禁止を命じた。同党が王室に対する不敬罪改正を公約に掲げたことを「国家転覆に当たる」と判断した。14日には、タクシン元首相派の最大与党・タイ貢献党のセター前首相を失職させた。過去に有罪判決を受けた人物の閣僚任命を巡り、倫理違反があったと結論付けた。

 憲法裁は1997年公布の憲法に基づいて創設された。最高裁とは別組織で、憲法判断のみを行う。現在の裁判官は9人で、最高裁判事や有識者などから選出され、国王が任命する。筑波大の外山文子准教授(タイ政治)は「当初から王室や軍を中心とする政治体制を守ることが目的だった。独立性はなく、政治の影響を受ける組織だ」と説明する。

 2006年以降、タクシン派と保守派の対立が激化すると憲法裁の活動も活発になる。軍が同年にクーデターでタクシン政権を倒すと、憲法裁は07年に選挙違反でタクシン氏創設のタイ愛国党に解党命令を出した。

 08年9月には、料理番組への出演が憲法違反だとして当時のタクシン派のサマック首相が失職。後任のタクシン氏の義弟ソムチャイ氏の政権も、選挙違反を理由としたタクシン派の解党処分に伴い崩壊した。タクシン氏の妹インラック氏は14年5月、政府高官人事を巡り首相の座を追われ、直後に再びクーデターが起きた。

 近年は王室や軍の改革を訴えて支持を広げる革新系が標的となり、前進党の前身の新未来党は活動資金に関連して20年に解党処分を受けた。

 前進党の後継で最大野党・国民党は「憲法裁の権限を見直すため、憲法改正が必要だ」と訴える。ただ、憲法改正手続きには憲法裁も関与するため、ハードルは高い。

 外山氏は「憲法改正には、保守派が抵抗を諦めるぐらいに革新系が国民から支持を得ていることが重要となる」と指摘している。 

[時事通信社]

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