現役世代の負担減争点=社会保障、財源論は深まらず―自民総裁選
時事通信 / 2024年9月22日 15時31分
自民党総裁選(27日投開票)では、9人の候補者が現役世代をターゲットに置いた社会保障改革案を公約に掲げた。高齢化の進展で年金や医療、介護に必要な費用が増える中、若年層の保険料負担軽減や子育て支援策の拡充などが並ぶ。ただ、財源確保策や高齢者世代を含めた負担の在り方を巡る議論は深まっていない。
若年層の社会保険料軽減を強く主張するのは小林鷹之前経済安全保障担当相と河野太郎デジタル相。小林氏は「社会保障未来会議」を新設し、具体案を練り上げると強調。河野氏も「社会保険料が現役世代の『賃金課税』になっている」と問題点を指摘し、同様に負担軽減を訴える。
子育て支援策を巡っては、上川陽子外相が出産費用の保険適用や妊婦健診への公費助成の推進を打ち出した。石破茂元幹事長も結婚、出産、子育てと一貫した少子化対策の必要性を唱えた。
一方、茂木敏充幹事長は、子育て支援の強化に充てる公的医療保険料の上乗せ徴収を停止すると明言。岸田政権が財源確保策として打ち出した仕組みだが、経済成長による税収増で必要な予算を確保するとしている。
厚生労働相を3度務めた加藤勝信元官房長官は、老後に低年金で貧困化するのを防ぐため、年金水準の改善を公約に掲げる。
パート労働者が税・保険料の負担増を避けるため、一定の年収を超えないよう就業調整する「年収の壁」問題も争点だ。
各候補から解消を目指す発言が相次ぎ、小泉進次郎元環境相は「働いても手取りが下がる年収の壁を撤廃する」と述べ、制度改正に意欲を示した。高市早苗経済安保担当相は壁の撤廃に加え、一定以上の賃金がある高齢者の厚生年金を減額する「在職老齢年金制度」の見直しを提唱した。
ただ、いずれの主張も目新しさはない。各候補者は、高所得の高齢者の負担増に触れているが、それだけで十分に財源を賄えるか不透明だ。政策実現は税収増頼みの部分があり、将来世代に負担が先送りされる懸念も拭えない。
マイナンバーカードと健康保険証の一体化を巡り、12月と決まった現行保険証の廃止時期も議論になった。トラブル発生に不安を抱く国民の声を踏まえ、林芳正官房長官が見直しに言及。石破氏も同調した。これに対し、担当相として現行保険証の廃止を主導してきた河野氏や加藤氏は予定通り進める方針を堅持している。
[時事通信社]
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