レバノン地上侵攻が焦点=対ヒズボラ「緩衝地帯」狙いか―イスラエル
時事通信 / 2024年9月25日 15時11分
【エルサレム時事】イスラエルはレバノンへの大規模空爆や、関与が濃厚な通信機器爆発を通じ、イスラム教シーア派組織ヒズボラの戦闘能力を大きく低下させたと誇示した。しかし、ヒズボラは25日も攻撃を続け、イスラエルが掲げる「北部への安全な住民帰還」のめどは立たない。イスラエルがヒズボラの脅威を排除するため、レバノン南部に地上部隊を侵攻させるかが今後の焦点となる。
ヒズボラは昨年10月、パレスチナ自治区ガザでの衝突を受けてイスラム組織ハマスへの連帯を示し、イスラエル攻撃を開始。ガザでの停戦実現まで続けると明言している。約1年に及ぶ攻撃で、レバノン国境に近いイスラエル北部の住民約6万人が避難を強いられたままだ。
イスラエル政府は今月、北部住民の帰還を戦争の主要目標に設定。「実現のために必要なことは全て行う」(ガラント国防相)として、強硬措置に踏み切った。空爆はレバノン全域が標的だが、特にヒズボラの拠点が多い南部に集中している。
地元メディアによると、イスラエルはヒズボラを国境周辺から引き離し、レバノン南部にイスラエル管理下の「緩衝地帯」を設けることも構想している。レバノンのハビブ外相は、今回の空爆による避難民が50万人に上る恐れがあると指摘。イスラエルが地上侵攻による緩衝地帯設置の「地ならし」の好機と見ている可能性がある。
イスラエルのハレビ軍参謀総長は25日、レバノンで続く空爆は「地上侵攻の可能性に備えたものだ」と兵士らに訴え、近く地上部隊展開もあり得ると強調した。
イスラエルのアミドロール元首相補佐官(国家安全保障担当)は時事通信の取材に、北部住民の帰還にはヒズボラ部隊をイスラエル国境付近に配置させないことが重要だと指摘。「レバノン南部からヒズボラの戦闘員やインフラを全て排除するためには、地上部隊投入が必要かもしれない」と話した。
だが、国際社会の理解が得られるかは不透明だ。ガザではイスラエルの地上部隊投入で、民間人の犠牲者が大幅に増加した。ロイター通信によれば、最大の支援国・米国の国務省高官は「地上侵攻が地域の緊張緩和に寄与するかは、確信できない」と疑問視している。
[時事通信社]
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