秋篠宮さま記者会見要旨
時事通信 / 2024年11月30日 0時10分
秋篠宮さまが59歳の誕生日に当たり、25日に臨まれた記者会見の要旨は次の通り。
―この1年の国内外の出来事で印象に残ったことは。紀子さまの胃腸の不調、上皇后さまの骨折、三笠宮妃百合子さまの逝去について。
一番強く印象に残っているのが元日の能登半島地震。多くの人が亡くなり、被災し、復旧に向けた努力が進んでいた中、9月の大雨で二重の災害になった。これは非常に大きなこと。亡くなった方への哀悼の意を表し、被災者へのお見舞いを申し述べたい。速やかな復旧を心から願っている。
海外に目を転じると、ロシアによるウクライナ侵攻や、パレスチナ武装勢力とイスラエルの双方による戦闘状態が続いており、多くの人が亡くなり、困難な暮らしを余儀なくされていることを大変残念に思う。
ノーベル平和賞を日本原水爆被害者団体協議会が受賞した。1956年の結成以来、核兵器のない世界を目指して活動し、受賞したことに深い感慨を覚える。人々が安心して暮らせる平和な社会は皆が願っていることだ。
パリ五輪・パラリンピックでは、日本代表選手も多くの活躍をした。特に印象に残っているのは総合馬術のメダル獲得。92年ぶりで、多少馬術と関わったことがある者として大変喜ばしい。
奄美大島でマングースの根絶宣言が出されたことは、生態系を考える上で大変大きなことだった。人と野生生物の共存にも思いを致すことが時々あった。熊による被害は多く出ており、捕殺頭数が昨年はものすごく多かった。野生生物と人間の共存は皆で考えていく必要がある。
今月三笠宮妃殿下が101歳で薨去(こうきょ)された。今年1月にお目にかかったのが多分最後で、昨年の私の誕生日には宮邸までお越しくださってお話をした。大変寂しい気持ちだ。
上皇后陛下の骨折を聞いて非常に驚いており、早いご回復を願っていた。その後恐らく最初にお目にかかったのが(上皇后さまの)10月20日のお誕生日。その時は車椅子だったが、三笠宮妃殿下がお亡くなりになった後、お悔やみに仙洞御所に上がった時はつえを突かれてはいたが、立って迎えてくださった。私の印象ではとても回復が早いのではないかとうれしく思った。上皇陛下とは、ここひと月半の間に2回ぐらい、私が御用地の中を散歩している時に偶然お目にかかることがあり、短い時間だがお話をした。上皇后陛下がより回復され、上皇陛下と共に健やかに過ごしていただくよう願っている。
(紀子さまは)完全に元の状態に戻っているかというとそうではないと思う。ただ、随分と回復して通常の活動を行えるようになっている。
―悠仁さまが39年ぶりに男性の成年皇族となられた。成長過程での思い出や期待、進路について話し合われていることは。
長男が今年9月に18歳になり、民法の定める成年となった。いまひとつ実感が湧いていないが、成年式があると感覚的に分かるようになるのではないか。ついこの前までチャイルドシートに乗っていた子どもがもう成年なのかと思うと、時の流れが速いことを実感する。
国内旅行もたびたびあり、ブータンに一緒に行ったのもとてもいい思い出だ。特に強く印象に残っているのは、長男が小学校6年生ぐらいの時のこと。学校で、緊急時に親が引き取りに行って連れて帰る練習があり、用事があった妻の代わりに私が引き取りに行った。ある一定の距離は徒歩で帰らなければいけないが、残念ながら私は空間認識が非常に悪く、エレベーターを降りても逆に行くようなことが多くて方向が定まらない。息子を引き取ったのはいいけれども、道を歩いて二つに分かれた所をどっちに行っていいか分からない。ほとんど帰り道は長男に手を引かれて従って行った。その時に随分成長したんだなと感じた。
9月6日に成年になったが、高校3年生の忙しい時で、その時に取り立てて何か声を掛けたということはないと思う。ただ、折々に話をすることは、声を掛けていただいたものに関わるときには、一つ一つ大事に思って丁寧に取り組んでほしいということ。一つ一つ自分が関わる仕事を大事に思って取り組んでほしい。今は多くの高校3年生と同じように毎日を忙しく過ごしている。進路についてはもちろん話し合うことはある。
―宮内庁のインスタグラムを活用した情報発信をどう思うか。秋篠宮家へのバッシングとも取れる情報について、紀子さまが誕生日に当たっての文書で「思い悩むことがあります」と記されたが。
SNSを使うことで、天皇、皇后両陛下の動静をタイムリーに伝えることができるようになり、大変良かった。一方で、今は一つのアカウントの中に両陛下の動静と宮内庁の事柄の二つが一緒になっている状態。見るときに一緒になって分かりにくいと思うことはある。
バッシング情報というのは、第三者と当事者では意味合いが異なってくる。当事者的に見るとバッシング情報というよりも、いじめ的情報と感じるのではないか。
今は誰もがそういう情報を発信できる時代。当事者にとってのいじめ的情報を全体のどれくらいの人たちが出しているのかを俯瞰(ふかん)してみないと、どう受け止めるかは難しい。ある一定の意見になると、それと違う意見に接しにくくなる現状がある。
そういう状況だと、例えば何かで宮内庁が抗議をしたとしても、どちらの方向に振れるか分からず、何か頼むというのは難しい。「いいね」じゃない方の、逆をとにかくクリックするぐらい、それ以外私はなかなか思い付かない。
―佳子さまのご様子、ご結婚について。
公的な活動の幅が広がっていると思う。私から見て、娘は一つ一つ非常に大切に一所懸命取り組んでいると思う。少し離れた分室で過ごしており、時々会う機会がある。元気に過ごしているぐらいしか言えない。結婚について何か話し合っていることは今はない。
―皇族数確保策に関する与野党協議で、女性皇族が結婚後も皇室に残る案はおおむね賛同を得られた。2009年の記者会見では、今後の皇室の在り方を議論する際には、「将来当事者になる皇太子ほかの意見を聞く過程が必要」と述べられたが、今回の過程で当事者のご意見を聴取する機会が必要か。佳子さまとは、ご家族で何か話し合いは。現在の皇室の活動量についての受け止めは。
基本的に皇室制度に関わることに何かお話しするのは控える。一方で、該当する皇族は生身の人間。その人たちが、それによってどういう状況になるのかは、生活や仕事の面でサポートする宮内庁のしかるべき人たちは、その人たちがどういう考えを持っているのか理解して、知っておく必要があるのではないか。(佳子さまとは)そのことについて話し合いをしているということはない。
活動量は、それを行う側の年齢や健康状態によっても違ってくる。もちろん私たちは年々齢(よわい)を重ねるわけで、何らかの見直しは必要になると思う。その中でできることを考えていく必要がある。例えば二つの出席依頼があったとして、夫婦単位であれば一人ずつ行くとか、そういう工夫はできるのではないか。
[時事通信社]
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