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「希望の足音を感じる」=英語で被爆証言続ける小倉さん―オスロでの平和賞フォーラムで講演

時事通信 / 2024年12月7日 5時51分

 「かすかな希望、核廃絶へ歩み出した足音を感じる」―。日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)へのノーベル平和賞授賞式翌日の11日、ノルウェーの首都オスロで行われる平和賞フォーラムで講演する被爆者の小倉桂子さん(87)=広島市中区=は高揚を隠さない。

 8歳の時、爆心地から約2.4キロの路上で被爆。閃光(せんこう)に包まれ、爆風で吹き飛ばされた。自宅に戻り、近くの神社に避難してきた人らに水をあげると、飲んだ直後に息を引き取った。「私があの人たちを殺したんだと怖い夢を見た」と振り返る。

 就職や結婚で差別される被爆者を見てきた小倉さん。自身の体験については口をつぐんでいたが、1980年にユダヤ人ジャーナリストの通訳を引き受けたことが、英語での被爆証言活動に力を入れる発端になった。

 その後の通訳活動をきっかけに83年、旧西ドイツで行われた反核模擬法廷に証人として参加。わずかしか発言しなかったのに、終了後、聴衆から次々と質問された。「広島への関心の高さ、反核への熱意を実感した」。翌年、ボランティアで被爆証言の通訳や平和記念公園のガイドを行うグループを立ち上げた。

 通訳として活動する中、米国の高校生から、自身の被爆体験を聴きたいと求められた。「核兵器を持つ米国の若者には最優先で話したい」。以来、英語での証言活動を本格化させ、昨年5月に広島で開かれた先進7カ国首脳会議(G7サミット)では、ウクライナのゼレンスキー大統領らと面会した。

 日本被団協の平和賞受賞を「世界の人に核廃絶への本気度を問い掛けるチャンス」と話す。自身の証言が、核兵器について想像し、語り合い、考えるきっかけとなることを期待し、フォーラムでは「数字や写真に表れない、被爆者の心の葛藤やトラウマを話したい」と意気込む。

 オスロ訪問は初めて。「被爆者の私が知っている全てを語りたい」と、フォーラムに加え、現地の若者に直接、被爆体験を伝える機会を設ける予定だ。 

[時事通信社]

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