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アングル:リード許すデサンティス氏、「打倒トランプ」に高い壁

ロイター / 2023年5月25日 7時11分

5月23日、 デサンティス・フロリダ州知事(写真)が来年の米大統領選に向けた共和党の指名候補争いでトランプ前大統領に勝つためには、「反トランプ票」を可能な限り勝ち取る必要がある。同州オーランドで20日撮影(2023年 ロイター/Marco Bello)

[ワシントン 23日 ロイター] - デサンティス・フロリダ州知事が来年の米大統領選に向けた共和党の指名候補争いでトランプ前大統領に勝つためには、「反トランプ票」を可能な限り勝ち取る必要がある。しかし、それだけでは勝利には不十分だと政治アナリストは見ている。

つまりトランプ氏支持者の一部も取り込まなければならないが、それには難しい綱渡りが必要だ。デサンティス氏は、既にその点で苦心している。

アメリカン・エンタープライズ研究所の共和党アナリスト、クリス・スタイアウォルト氏は「MAGAとその他の共和党支持者を同時に口説くことはできない。彼(デサンティス氏)はこの点で難しい決断を迫られるだろう」と語る。

MAGAとはトランプ氏の「アメリカを再び偉大に」運動のことで、同氏の岩盤支持層を意味する。

<難しい多数派獲得の戦術>

デサンティス氏は24日に出馬表明を行う計画。豊富な資金力を持ち、全国的な知名度も上がっている同氏は、指名候補争いですぐにトランプ氏の最大のライバルとなるだろう。

しかし、ロイター/イプソスが今月実施した調査では、共和党支持者の間でデサンティス氏の支持率は19%と、トランプ氏の49%に大きく差を付けられている。

デサンティス氏の前に立ちはだかる最初の壁は、反トランプ派の細分化だ。ヘイリー元国連大使やスコット上院議員が既に出馬を表明しており、ペンス前副大統領も後に続くかもしれない。

デサンティス氏陣営は、トランプ氏に嫌気が差した共和党主流派にアピールしながら、過去にトランプ氏を支持したが来年はどうしようかと迷っている保守層の関心も、引きつける方法を錬らねばならない。

過去に何度か共和党候補の大統領選に関わったことのあるサラ・イスガー氏は「彼は反トランプ派の票を取り込むだけでは、指名を勝ち取れない。トランプ氏支持者からも票を引きはがす必要がある」と語る。

共和党で世論調査員を長年務めてきたホイット・アイレス氏は、共和党有権者は3派に分かれると説明。トランプ氏岩盤支持層が約30―35%、反トランプ派が約10%で、残りはその中間の「メイビー・トランパーズ」が占めると話す。

「デサンティス氏はメイビー・トランパーズよりもトランプ氏忠誠派を取り込もうとしているようだ」とみるが、時間の無駄だとアイレス氏は指摘する。取り組むべきは「トランプ氏の代わりを探している有権者に対し、自分こそ適任だと」納得させることだと語った。

スタイアウォルト氏も同意見で、デサンティス氏はまず、トランプ氏を支持していない層の間で強い基盤を築いてから、支持者を広げるべきだとし「発射台が必要だ」と述べた。

<右旋回した政策と支持者のかい離>

だが、デサンティス氏はトランプ氏に忠誠を誓う可能性が最も高い保守派最右翼にアピールする道を選んだ様子で、献金を考えていた人々や支持者をがっかりさせている。

デサンティス氏は今年、知事として全米でも最も厳しい部類の中絶禁止法や、住民が銃を隠し持つのを容易にする法律に署名した。ウクライナ支援は国の利益に反するとの考えを示唆し、批判を浴びて主張を後退させた経緯もある。

フロリダ州で最大の雇用主であるウォルト・ディズニーと激しい対立を続けていることも、企業統治への介入を嫌う伝統的な共和党員の一部を当惑させている。

ニューヨーク・タイムズ紙によると、デサンティス氏は先週、献金者との電話会議で、トランプ氏では民主党のバイデン大統領に勝てないと主張。共和党予備選と本選の両方に勝てるのは、自分だけだと訴えた。

ロイター/イプソスの調査結果を分析すると、デサンティス氏の中核的支持者は大卒で年齢の高い人々が多く、都市郊外に住んでスポーツ用多目的車(SUV)に乗っている。

これに対し、トランプ氏は若く教育水準の低い層に強く、そういう人々は地方に住み、ピックアップトラックに乗っている割合が高い。

同社が今月実施した調査では、大卒の共和党員の間ではトランプ氏の支持率が36%、デサンティス氏が26%だった。

また、地方在住の共和党員の間ではトランプ氏の支持率が53%、デサンティス氏が19%と大きな差があるのに対し、都市郊外では44%、21%と、両氏の差が縮小している。

「米国はウクライナを強く支援すべきだ」と考える有権者の割合は、デサンティス氏の支持者の方が大きい。2020年大統領選で大規模な不正があったことを信じない有権者や、積極的差別是正措置(アファーマティブ・アクション)などの急進的政策に強く反対する有権者の割合も、デサンティス氏支持者の方が大きかった。

イスガー氏は、デサンティス氏には勝利に向けて支持者連合を形成する時間的余裕があると語る。反トランプ派有権者は、デサンティス氏が指名を勝ち取るためであれば、トランプ氏支持者の一部を獲得すべく右旋回することにも目をつぶるだろうと言う。

では、デサンティス氏は勝てるのか。

イスガー氏は、トランプ氏の強さを考えると「勝てるとは言い切れない」と懐疑的な見方を示した。

(James Oliphant記者、Jason Lange記者)

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