米社債を中心にヘッジ外債増加=かんぽ生命運用計画
ロイター / 2020年4月24日 17時8分
4月24日、かんぽ生命保険は、2020年度の資産運用計画で、市場の先行き不確実性の高まりから、慎重にリスクテークを行う方針を示した。写真は日本郵政グループのロゴ。2015年11月に東京で撮影(2020年 ロイター/Toru Hanai)
[東京 24日 ロイター] - かんぽ生命保険<7181.T>は、2020年度の資産運用計画で、市場の先行き不確実性の高まりから、慎重にリスクテークを行う方針を示した。米社債を中心にヘッジ外債を増加する一方で、オープン外債は横ばいの見通し。国内株式を割安局面で積み増すほか、直接投資のための体制強化を行いオルタナティブ投資を増加する予定だ。円金利資産については減少予定だが、金利上昇局面では追加投資を行う。
24日に開催された資産運用方針説明会で明らかにした。
<ヘッジ外債を増加、米社債が中心>
20年度はヘッジ外債が増加する見通し。各国中銀による緩和的な政策により、今後もグローバルな低金利環境が継続するとみている。米金利は大幅に低下しているものの、信用リスク悪化の懸念から、クレジット・スプレッドが拡大し、ヘッジ付米社債の投資妙味が増している。ただ、海外の金利水準やヘッジコストおよ国内金利水準を踏まえながら、機動的に残高を調整していく。
執行役運用企画部長の春名貴之氏は「ドル円のヘッジコストはボラティリティーが高く、それを差し引いて収益が乗っているものを考えると、スプレッド(クレジット)資産が中心となる。個別銘柄・セクターごとに峻別し、信用リスクに見合ったスプレッドが乗っているかを見極めていく。また、投資適格未満については引き続き慎重に見ていく」と述べた。
オープン外債は横ばいの見通し。19年度はドルが対円で強含む展開を想定し、一定額を積み増したことから残高が増加した。20年度は、海外金利の大幅な低下を受けて徐々に円高に推移していくと見込んでおり、購買力平価(PPPベース)の水準を勘案すると100円程度までの円高進行を想定している。ただ、調整局面では残高を積み増していく。
<国内株は割安局面で積み増し、オルタナは体制強化で直接投資へ>
国内株は増加する見通し。新型コロナウイルスの感染拡大が終息しない限り、経済活動停滞の影響により調整局面は長期化するとみている。ただ、PBR(株価純資産倍率)1倍割れの局面は過去を踏まえると長期的には継続しないとみており、一定程度の割安な領域に入った場合は残高を積み増していく。
外国株式については、横ばいを想定し、調整局面では残高を積み増すという。19年度は新型コロナウイルスの感染拡大に伴う調整局面で購入したことから、残高は増加した。
オルタナティブ投資は増加する見込み。外部の運用会社を通じた投資に加えて、今年度からは人員増加やリスク管理を強化する中、直接投資も行い、一定程度の比率で中長期的な視点から残高を積み増していく。
ESG(環境・社会・企業統治)投資については、日本株を中心に運用していたが、機関投資家の行動指針(スチュワードシップ・コード)対象の資産を社債まで広げる方向だという。
<円金利資産は引き続き減少>
円金利資産は引き続き減少する見通し。 20年度は前年度と同様にスプレッド資産を中心に投資を行う方針。20年債や30年債など超長期債の一定程度の運用も行う予定だが、国債償還に伴い残高は減少する見込み。「20年債は利率0.5%を目途に市場環境を踏まえながら調節していく」(春名氏)とし、金利上昇局面に応じて追加投資するとしている。
新型コロナウイルスが早期に終息した場合について「世界的な金融緩和と各国の財政状況を踏まえると株価の反発などアップサイドも想定している。現行の枠組みをベースとし、複数のシナリオにも対応できるようにしていく」と、春名氏は話した。
20年度の相場見通し(レンジと年度末)は以下の通り。▼はマイナス。
日本国債10年物利回り ▼0.20―0.20%(年度末ゼロ%)
米10年国債利回り 0.2─1.2%(同0.7%)
日経平均 1万6000─2万3000円(同1万9000円)
米ダウ 1万8000─2万7000ドル(同2万2000ドル)
ドル/円 100―112円(同105円)
ユーロ/円 110―125円(同117円)
(坂口茉莉子)
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