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当分、配当は期待しないでほしい=孫ソフトバンクG会長兼社長

ロイター / 2020年6月25日 14時43分

 ソフトバンクグループ(SBG)<9984.T>の孫正義会長兼社長は25日の株主総会で「当分、配当は期待しないでほしい」と述べた。写真は東京で2018年5月撮影(2020年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 25日 ロイター] - ソフトバンクグループ(SBG)<9984.T>の孫正義会長兼社長は25日の株主総会で「当分、配当は期待しないでほしい」と述べた。株主還元としては、すでに大規模な自社株買いの方針を示し、実行してきているとし、理解を求めた。

孫氏は株主から配当の将来像を問われ、「当分、配当などは期待しないでほしいというのが正直な気持ち」と語った。「もちろんいつかはする。できるだけたくさんしたいと思っている」とする一方、足元では株主還元として2.5兆円規模の自社株買いの方針を発表したとし、「こちらを中心に株主還元していきたい」と述べた。

同社は保有資産4.5兆円分の売却・資金化と、2.5兆円の自社株買いの方針を3月に発表していた。自社株買いはこれまでに1兆円の枠を取締役会で決議し、5000億円の取得を実行したと発表している。孫氏は「一歩一歩、やっていく」との方向性を示し、「こちらを中心に株主還元していきたい」と述べた。資産4.5兆円の売却・資金化は約8割を終え、残る2割も「めどがついている」とした。

孫氏は5月の決算発表会見で、新型コロナウイルスの影響を踏まえて資金がさらに必要になる事態もあり得るなどとして、20年度の配当は「ゼロ配当もあり得る」と述べていた。20年3月期の年間配当は前期から横ばいの44円。

孫氏は、営業利益や純利益より「特に関心を持って見ている」という株主価値について「コロナ前より増えている」とアピールした。同社の株主価値は、昨年末時点が23.0兆円だったが、コロナ禍で3月末時点では21.7兆円に低下した。その後、株式相場は回復基調をたどり、24日時点での株主価値は23.3兆円になったと説明した。

TモバイルUS株の一部売却にも言及し、投下資本0.4兆円が約7年間で1.9兆円となり「5倍近いリターンを得た。IRR(内部収益率)では年率25%の利回りで成長できた」と強調した。投資する際に巨額の借り入れをしたことで「失敗」と批判されてきたと振り返りながら、「無事成長して価値を得ることができた」と述べた。同社の成長は続くとし、残る保有株の価値向上にも期待を示した。

<人事案を承認>

社外取締役を倍増する人事案は承認された。孫氏は「厳しいご指摘や意見をどしどし、いただきたい。私が暴走しないよう、できるだけガバナンスを強化する」と述べた。もっとも「待ったをかけるばかりがいいとも限らない」とも指摘。「それを振り切って突っ走って、ときにはいい結果が出ることもある。そこはケースバイケースで頑張りたい」とも語った。

社外取締役には、ベンチャーキャピタル創業者のリップブー・タン氏、早稲田大学大学院経営管理研究科の川本裕子教授の2人が選任された。同社では社内取締役9人に対し、社外取締役はファーストリテイリング<9983.T>会長兼社長の柳井正氏が昨年12月に退任したことで2人に減っていた。総会の前には人選の一部への反対を推奨する議決権行使助言会社もあった。関係筋によると、ガバナンスの強化は「モノ言う株主」の米エリオット・マネジメントも求めていた。

孫氏は役員報酬を「これからも大いに払っていきたい」と述べた。企業価値を伸ばすために貢献した幹部や社員に気前よく払うことで株主価値は着実に伸びるとし、「伸ばした株主価値に対する見返りはどしどし払っていきたい」とした。

投資先の米シェアオフィスのウィーワークや米通信衛星ベンチャーのワンウェブに関連した損失の責任を問われ、孫氏は自身の報酬について「減俸している」と説明した。支給される報酬についても「全額寄付している」とし、報酬は実質ゼロとの認識を示した。この上で「株価が下がるのが私に対する最大の減俸、一番の罰」と指摘し「総合的な判断を毎日いただいている」と述べた。

一方、孫氏は、中国の電子商取引大手アリババ・グループ・ホールディング の取締役を同日付で退任するとも述べた。アリババ創業者の馬雲(ジャック・マー)氏がソフトバンクグループの取締役を総会後に退任するのに合わせた。SBGの新たな取締役には、後藤芳光専務執行役員CFOが就く。

マー氏は昨年、アリババの経営から離れた。後任の張勇(ダニエル・チャン)CEOについて孫氏は「若き強いリーダーとして活躍してくれると確信できた」と指摘し、マー氏や自身の退任は「(チャン氏を)大いに信任するという意味の卒業」と述べた。「円満」だとし、アリババ株式は「できるだけたくさん、長く持ち続けたい」とした。

*内容を追加しました。

(平田紀之 編集:山川薫、青山敦子)

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