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焦点:アフリカ石油・ガス資源、ウクライナ危機で再び脚光

ロイター / 2022年7月25日 14時18分

 7月22日、アフリカの石油・天然ガス資源は、気候変動懸念やコストがネックとなり、敬遠される存在だった。写真は2019年8月、ナイジェリア・ラゴスの建設中の製油施設で撮影(2022年 ロイター/Temilade Adelaja)

[ブリュッセル/ロンドン/ケープタウン 22日 ロイター] - アフリカの石油・天然ガス資源は、気候変動懸念やコストがネックとなり、敬遠される存在だった。しかし欧州でロシア産からの代替需要が高まり、エネルギー業界で開発意欲が再燃しつつある。

上場・非上場企業の推計に基づくロイターの試算によると、エネルギー企業がアフリカ大陸で検討中の開発プロジェクトは総額1000億ドルに上る。

現在は石油・ガスをほとんど産出していないアフリカ諸国のうち、ナミビア、南アフリカ、ウガンダ、ケニア、モザンビーク、タンザニアなどで今後数年間に数十億ドルの開発投資が行われる可能性がある。

業界コンサルタント2社による未発表の試算によると、最も有望な国とされるナミビアは、この数カ月に試掘井で良好な結果が出ており、同国だけで日量50万バレル前後の石油生産が新たに可能になる可能性がある。

国際エネルギー機関(IEA)の推計によれば、2030年までにアフリカ全体でロシアから欧州へのガス輸出の5分の1程度を肩代わりできそうだ。その時点までにアフリカから欧州へのガス供給量は年間300億立方メートル増えるという。

カナダの石油探査会社エコ・アトランティック・オイル&ガスのジル・ホルツマン最高経営責任者(CEO)はロイターへの電子メールで、「世界中でロシア産石油・ガスの置き換えが求められている今、業界はアフリカが供給する豊富なエネルギー資源に注目している」と指摘。ナミビアと南アフリカの沖合油田の開発に触れた上で、「石油メジャーはより大きなポジションを構築しており、探査、開発、生産用地を競って入札している」とした。エコ・アトランティックはナミビア沖の約3万平方キロで石油掘削のライセンスを保有している。

IEAは6月の報告書で、アフリカのエネルギー向け投資は2014年の石油・ガス価格急落時から依然として回復していないと指摘、この地域がエネルギー供給不足の緩和に貢献する可能性を強調した。

IEAのビロル事務局長は6月に行ったロイターのインタビューで、「われわれは真の世界的エネルギー危機のさなかにあり、供給が止まったロシア産の石油・ガスに代わる手段を見出す必要がある」と述べた。

<化石燃料に迫るタイムリミット>

企業幹部などによると、アフリカで石油・ガス投資を検討している企業や国は、世界的な低炭素技術移行によって多くの化石燃料プロジェクトが採算割れとなる前に未開発の資源から利益を手に入れるため、迅速に動く必要があると分かっている。

タンザニアでは先月、ノルウェー国営エネルギー大手エクイノールと英蘭石油大手シェルが、総工費300億ドルの液化天然ガス(LNG)輸出ターミナルの開発を加速させる包括的な協定に署名した。

フランスの石油大手トタルエナジーズのプヤンヌCEOは1月にモザンビークの首都マプトを訪問した際、治安が改善すれば、武装勢力の影響で中断している200億ドルのLNGプロジェクトの年内再開を目指すと明らかにした。

プヤンヌ氏は5月には、トタルは生産量の減少とロシア産の供給減を補う必要があり、有望ながら開発が進んでいないナミビアでの活動を加速しているとも述べた。

法律事務所メイヤー・ブラウンのゴンサロ・ファルカオ氏は、数百億ドル規模の東アフリカのガスプロジェクトを引き合いに、「今、このようなプロジェクトを推進しようとする動きが盛り上がっている。プロジェクトをてこ入れするチャンスと受け止められているのは明白だ」と語った。

<最有望国、ナミビア>

アフリカの新たな石油開発分野でナミビアほど大きな存在感を示している国はない。

まだ生産は始まっていないが、大手石油会社が数十年前から地理的データの調査や海洋探査を行っており、今年2月にシェルが軽質油の「有望な」油田を掘り当てた。軽質油は、供給が細っているガソリンや軽油の生産に使われる。

シェルは同社の約150年の歴史で初めて、油井を連続して掘削する「バック・トゥ・バック」を行った。1本目の油井の結果が有望だったためだが、気候変動への取り組みから、早期開発に向けた信頼できる道筋が整っており、原油価格の変動に対して弾力性と競争力を持つプロジェクトのみを推進するとしている。

トタルエナジーズは3月に、隣接するビーナス鉱区で試掘を完了。同鉱区は「有望」だとしており、第3・四半期にはより高度な評価井を掘削する予定だ。

同社はナミビアについて、「商業的に回収可能な埋蔵量かどうかを判断する必要がある。(しかし)需要を満たすためには引き続き投資が必要だ」と説明した。

シェルの幹部は匿名を条件に、両社の鉱区の開発には110億ドル程度かかるとの見通しを示した。

データ会社IHSマークイットの予測や、天然資源コンサルタント会社ウッド・マッケンジーの推計によると、今回の発見で日量50万バレル程度の石油生産が可能になる。両社とも推計は予備的としている。

ナミビアの鉱山エネルギー省の幹部は、世界的なクリーンエネルギーへの移行が迫る中、タイムリミットが迫っているかもしれず、「ナミビアはアフリカで最後の巨人になる恐れもある」と、焦りをにじませた。

(Noah Browning記者、Ron Bousso記者、Wendell Roelf記者)

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