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焦点:FRBが「今のところ」インフレを懸念しない5つの理由

ロイター / 2021年5月25日 14時7分

 5月24日、インフレ懸念が市場や政界で強まる中、米連邦準備理事会(FRB)当局者らは、最近のコモディティー(商品)価格上昇がより大きな問題に発展しないと考える理由を熱心に説明している。2019年3月、ワシントンで撮影(2021年 ロイター/Leah Millis)

[ワシントン 24日 ロイター] - インフレ懸念が市場や政界で強まる中、米連邦準備理事会(FRB)当局者らは、最近のコモディティー(商品)価格上昇がより大きな問題に発展しないと考える理由を熱心に説明している。

その説明は、簡単な数学を取り混ぜたものもあるが、大半は需要と供給のバランス動力、一定の大衆心理、1990年代以降インフレを落ち着かせてきた要因が新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)後も有効というある種信念のようなものに依存している。

こうした主張のほとんどは、パンデミック後の経済が以前とは異なる動きをすれば、話が変わりリスクもある。そうなればFRBは、最大雇用の支援という現在の取り組みから、インフレが緩和するまで金利を引き上げるという昔ながらの役割に戻らざるを得なくなる。

FRBは今のところ、強い経済、継続的な雇用の増加、落ち着いたインフレを全て達成できると考えている。

そこで、現在のインフレの5つの要因と、それに対するFRBの評価を列挙した。

<ベース効果>

米国の消費者物価指数(CPI)は最近、前年比4.2%上昇と約12年半ぶりの大幅な伸びを記録した。にもかかわらず、FRB高官がインフレ急上昇を心配していない理由の一つに「ベース効果」がある。現在の物価上昇率は、1年前のパンデミック開始時に急激に下落した時との比較のため、通常の状態に戻ったとしても上昇率が大きくなる。今後パンデミック時の「ゲタ」がなくなりインフレ率は低下する。

<財政刺激の縮小>

米政府は、家計や企業に対し異例の財政刺激策を講じた。来年は縮小され、財政出動に起因する物価上昇圧力は弱まるとみられる。

<コモディティー価格高騰>

財政支援を受けた個人消費パワーは製造業の想定を超えた。製造業は原材料調達に奔走、供給に目詰まりが生じ価格が上昇した。ただ、家計が2台目の冷蔵庫やバイクを購入することはないだろう。増大した需要が満たされれば、価格は下落するはずだ。

<労働市場の緩み>

現在25歳から54歳までの就業者数は、パンデミック前より約450万人少ない。この年齢層の人々が今後、仕事に復帰すると予想される。その間に賃上げや価格引き上げ圧力が生じたとしても緩やかなものにとどまるとみられる。現在さまざまな雇用指標はあまり参考にならない。人々が希望する条件で働くようになるまでは、労働市場の緩みが他の価格を抑制するとみられる。

<インフレ期待>

結局、FRB高官はインフレの台頭を懸念していない。なぜなら30年間物価抑制に成功し、家計、企業、主要投資家がインフレは抑制されると予想しているからだ。このような「しっかりつなぎとめた期待」は強力な武器となり得る。FRBはインフレ抑制で信頼を得ていると認識し、物価が暴走しそうになっても、大衆心理を素早く安定させられると考えている。

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