アングル:悲願・最年少・初の女性、自民総裁決定へ 事実上の新首相
ロイター / 2024年9月26日 13時42分
Yoshifumi Takemoto
[東京 26日 ロイター] - 自民党総裁選が27日に投開票を迎え、次期首相が事実上決まる。史上最多となった立候補者9人のうち、マスコミ各社の調査では石破茂元幹事長(67)、小泉進次郎元環境相(43)、高市早苗経済安保相(63)の3氏が優勢とされるも接戦が予想される。最終的にはこのうち2人の決選投票となる可能性がある。
石破氏が勝利すれば「最後の挑戦」で悲願を達成する。小泉氏なら最年少、高市氏なら初の女性宰相の誕生となる。
総裁選は衆参両院の議長を除く国会議員票368票と、同数の党員・党友票(368票)を合わせた736票で争う。1回目の投票で過半数を得た候補がいない場合は上位2人による決選投票を行う。決選投票結果が引き分けの場合はくじ引きで決まる。
各種調査の多くでトップに立つ石破氏は、首相の有力候補と言われながらこれまで総裁選で勝利できず、今回で5回目の出馬となる。2012年の総裁選では党員から多くの支持を集め、1回目の投票でトップに立ったものの、国会議員票の比重が大幅に増す決選投票で安倍晋三氏に敗れた。
石破氏は今回が最後の挑戦と明言し、得意とする安全保障政策では米国だけに依存しない「アジア版NATO(北大西洋条約機構)」の創設を訴える。北朝鮮による拉致問題解決のため、東京と平壌の連絡事務所を設置する必要性も強調する。金融所得課税の強化と「原発ゼロ」をうたって物議をかもし、その後に軌道修正した。日銀の金融政策については中央銀行の独立性を尊重する考えを示している。
鳥取県八頭町出身の石破氏は、建設省(当時)の事務次官や鳥取県知事などを歴任した父親と親交の深かった田中角栄元首相から国会議員へ立候補することを勧められた。幹事長、防衛庁長官 防衛大臣、農水大臣、地方創生特命大臣などを歴任。ラーメン議連会長も務める。
小泉氏は国民に人気の高かった小泉純一郎元首相を父に持ち、早期の解散・総選挙をにらむ党内の国会議員から支持を集める。勝てば初代総理大臣の伊藤博文を抜き、最年少の首相誕生となる。新政権に対する国民の信を問うべきとし、自身が勝利すれば衆議院を即時解散する方針を表明している。
郵政民営化を争点に総裁選を戦った父親と同様、改革に積極的な姿勢を前面に打ち出し、終身雇用を前提とした労働市場の流動化やライドシェアの全面解禁を訴える。就任すればまずは物価高対策、1年以内に規制緩和、中長期的な課題として地方を含めた産業育成に取り組むとしている。
神奈川県横須賀市生まれの小泉氏は、父・純一郎元首相の秘書を務めたのち、2009年に衆院議員に初当選して現在5期目。環境大臣時代にレジ袋の有料化を進めた。フリーアナウンサーの妻、滝川クリステル氏との間に2人の子どもがいる。同じ神奈川が選挙区の菅義偉前首相が小泉氏の支持を明らかにしている。
高市氏は金融緩和と積極的な財政出動を進めた「アベノミクス」の流れを明確に引き継ぎ、選挙期間中も日銀の追加利上げをけん制している。防衛力増強の財源となる増税にも反対している。ロイターが実施した9月の企業調査では、望ましい次期首相として石破氏に続き僅差で2位につけた[]。
高市氏は、タカ派的な外交・安全保障政策で知られ、日本が掲げてきた「非核三原則」のうち、持ち込み禁止は米国の拡大抑止の実効性を低下させると主張している。また、首相になっても靖国神社への参拝を続けると明言している。
尊敬する政治家に英国のサッチャー元首相を挙げる高市氏は奈良県が選挙区。松下政経塾や米連邦議会フェローを経て1993年に初当選し、衆院議員9期目。06年第1次安倍内閣で沖縄・北方・少子化特命大臣として初入閣、14年第2次安倍改造政権で総務大臣に就任した。総裁選に立候補したのは、前回21年に続いて2回目。
総裁選には小林鷹之・前経済安保担当相、河野太郎デジタル担当相、林芳正官房長官、茂木敏充幹事長、加藤勝信・元官房長官、上川陽子外相も立候補している。
新総裁は10月1日召集の臨時国会で首相に指名され、4日にも所信表明演説を行い、7─9日衆参両院で代表質問に応じる見通し。総裁選で掲げた政策は、所信表明演説に盛り込まれる公算が大きい。
新首相は11月に決まる米新大統領との関係構築が求められる。さらに同月開催のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会合、20カ国(G20)首脳会談出席など、重要な外交行事が控えている。
(竹本能文 取材協力:杉山健太郎 編集:久保信博)
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