完全失業率、20年平均は11年ぶり上昇 コロナが影響
ロイター / 2021年1月29日 10時50分
[東京 29日 ロイター] - 総務省が29日発表した12月の完全失業率(季節調整値)は2.9%だった。前月から横ばいに踏みとどまったが、2020年平均の完全失業率は2.8%(前年比0.4ポイント上昇)で、リーマン・ショックの影響が表れた2009年以来11年ぶりに上昇した。20年平均の有効求人倍率も、オイルショックの影響を受けた1975年以来45年ぶりの大幅低下となった。新型コロナウイルスの感染拡大による雇用への影響があらためて確認された。
20年平均の完全失業者数は191万人と前年に比べて29万人増加。こちらも11年ぶりに増加した。
休業者数は256万人と、比較可能な1968年以降で過去最多。前年に比べて80万人増加し、増加幅は1969年以降で過去最大となった。昨年の緊急事態宣言の影響が表れたという。
<12月は「踏みとどまっている」>
12月の完全失業率について、ロイター予測は3.0%だった。
男性の失業率は3.1%と前月に比べて0.1ポイント低下、女性は2.7%と0.3ポイント上昇した。年齢別では15━24歳が5.1%と最も高く、65歳以上が1.4%と最も低かった。
完全失業者数(実数値)は194万人で前年同月比49万人の増加、11カ月連続の増加となった。求職理由別では「勤め先や事業の都合による離職」が20万人、「自発的な離職(自己都合)」が9万人、それぞれ増加した。
就業者数(実数値)は6666万人で前年同月比71万人減。9カ月連続の減少となった。宿泊・飲食サービス業で29万人、卸売・小売業で22万人、製造業で11万人、それぞれ減った。一方、医療・福祉、情報通信などは増加し、産業別で明暗が分かれている。
国内で新型コロナ感染が再拡大する中、総務省の担当者によると、「雇用は踏みとどまっている」という。1月は緊急事態宣言が発令されたことから、その影響が顕在化するかが注目されるとした。
<12月有効求人倍率は1.06倍、20年平均は大幅低下>
厚生労働省が同日発表した12月の有効求人倍率(季節調整値)は1.06倍で、前月と同水準。ロイターがまとめた事前予測とも一致した。コロナ前に1.5倍台で推移していたことを踏まえれば依然として低水準となっている。
企業側の求人状況を示す月間有効求人数(季節調整値)が前月に比べて0.1%ポイント低下した。12月の新規求人で、パートタイムを除く一般(フルタイム)は前月比プラス2.3%と底堅い動きが続きが続いた。一方、パートタイムは同マイナス3.9%と、パートを多く雇用する飲食サービス業や小売業などの求人に新型コロナウイルスの感染再拡大の影響が出たとみられる。
一方、月間有効求職者数(同)は0.7%ポイント低下。新型コロナの感染拡大によりハローワークに来所して職を求める人が減っているという。希望するような職がなく、就職活動を控える動きも背景にあるとみられている。
20年平均の有効求人倍率は1.18倍となり、前年の1.60倍から0.42ポイント低下した。低下は2年連続。オイルショックの影響を受けた1975年以来45年ぶりの大幅低下となった。
(杉山健太郎 編集:山川薫)
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