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補正予算13.9兆円を閣議決定、遠のく「歳出平時化」 PB黒字化へ難路

ロイター / 2024年11月29日 17時43分

 11月29日、政府が物価高克服などに向け総額13兆9433億円の2024年度補正予算案を閣議決定したことで、歳出の平時化はさらに遠のいた。2021年撮影(2024年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

Takaya Yamaguchi

[東京 29日 ロイター] - 政府が29日、物価高克服などに向け総額13兆9433億円の2024年度補正予算案を閣議決定したことで、歳出の平時化はさらに遠のいた。財政目標に据える25年度の基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)の黒字化は難路を迎える。

政府が決定した補正予算案は、1)日本経済・地方経済の成長、2)物価高の克服、3)国民の安心・安全の確保――などに向けた歳出が柱。

これまでに11兆円超の国費を投じたガソリン補助金にさらに1兆0324億円を追加するほか、冬期の電気・ガス料金の負担軽減策として3194億円を計上した。

新設する「AI・半導体産業基盤強化フレーム」には、今回の補正予算で1兆3054億円を投じた。特別会計分や既存の基金活用とあわせ1.6兆円規模の支援となる。

補正予算では、低所得世帯向けの給付なども盛り込み、12月上旬にも臨時国会に提出。年内の早期成立を目指す。

政府は、今年6月の経済・財政運営の指針(骨太方針)で、コロナ前の水準を念頭に「歳出構造の平時化」をうたった。ただ、追加歳出は逆に昨年(13.1兆円)を上回る現状に、市場では「PB黒字化は難しくなった」(SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミスト)との見方が出ている。

政府は「経済あっての財政」との考えに立ち、物価高に負けない賃上げ継続に向けた環境整備を急ぐ構えだが、国際社会から財政規律に厳しい目が向けられるようだと急ピッチな金利上昇を招き、かえって景気を冷やす懸念がある。

加藤勝信財務相は臨時閣議後の記者会見で「財政健全化の旗を降ろさず、歳出改革の努力を行っていくことが重要」と述べた。

<財投追加1兆円超>

「第2の予算」とされる財政投融資では、主要7カ国(G7)で協調して行うウクライナ支援などを盛り込み、24年度計画に1兆1222億円追加することを決めた。

内訳は、1)財政融資1兆0660億円、2)産業投資305億円、3)政府保証257億円――の3本柱。

石破茂政権が推進する地方創生に向け、地場産業の設備投資を後押しするための資金供給や、地方の大学発のスタートアップなどに対し、リスクマネーを供給することを盛り込んだ。

歳出追加に伴い24年度の国債発行計画も見直す。

不足財源を補うため新規国債を6兆6900億円追加。GX(グリーン・トランスフォーメーション)経済移行債の発行額も上積みする。財投債や借換債は、いずれも当初比減額となる。

一方、消化方式別では、金利ある世界への移行で需要が旺盛な個人向け国債を増やす。カレンダーベース市中発行額は当初比2.4兆円増の173.4兆円とする。

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