米グッドイヤー、マレーシアで強制労働の疑い 外国人従業員が提訴
ロイター / 2021年5月31日 12時43分
米タイヤ大手グッドイヤー・タイヤ・アンド・ラバーのマレーシア工場で、外国人労働者の賃金不払いや違法残業などの疑いが出ていることが、裁判所の資料や従業員の申し立て書類で明らかになった。シャーアラムの同社工場前で6日撮影(2021年 ロイター/Lim Huey Teng)
[クアラルンプール 31日 ロイター] - 米タイヤ大手グッドイヤー・タイヤ・アンド・ラバーのマレーシア工場で、外国人労働者の賃金不払いや違法残業などの疑いが出ていることが、裁判所の資料や従業員の申し立て書類で明らかになった。
ロイターは元・現外国人従業員6人のほか、マレーシア人的資源省の当局者を取材。グッドイヤーが給与からの不当な天引きや過剰残業、従業員からパスポートを取り上げるなどの行為を行っていたと明らかにした。
人的資源省は、2020年に、外国人従業員の過剰労働と不当な低賃金を理由にグッドイヤーに罰金を科したと確認した。1人の元従業員は、会社側に違法にパスポートを取り上げられたと明かし、グッドイヤーでの勤務開始から8年後の2020年1月にパスポートが返還された際に署名した確認書をロイターに見せた。
マレーシア工場の外国人労働者185人は2019年と2020年に労働協約違反を理由にグッドイヤーのマレーシア現地法人を相手取り、3件の訴訟を起こしていた。勤務シフト手当や年間賞与、賃上げなど、労組に所属する現地スタッフが受けていた待遇が外国人労働者に認められなかったと主張している。この問題について報じるのはロイターが初めて。
裁判所は昨年、2件の訴訟で外国人労働者はマレーシア人従業員と同じ権利があるとの判断を下した。ウェブサイトに掲載された判決文で確認した。グッドイヤーは不払い分の賃金を支払い、労働協約に従うよう命じられた。
裁判所に提出された給与明細書によると、一部の外国人労働者の1カ月の残業時間は229時間と、マレーシアが定める上限の104時間を大幅に上回った。
グッドイヤーはどちらの判決に対しても上訴している。上訴審の判決は7月26日に予定されており、3件目の訴訟の判決は数週内に示されるとみられる。
グッドイヤーは訴訟についてコメントを控えた。昨年の判決文によると、同社マレーシア法人は、外国人労働者は労組に所属していないため、労働協約の対象外だと主張。これに対し、労組代表者は外国人従業員も労組に加わることが可能で、所属していなくても労働協約が規定する手当を受け取る権利があると証言した。
グッドイヤーの担当者はロイターに、人権保護に関してしっかりとした方針および慣行があると説明。「従業員や業務、サプライチェーンに関する不適切行為のいかなる申し立ても深刻に受け止める」とした。
従業員らは提訴後に同社からの脅しに遭ったとも述べた。グッドイヤーはコメントを控えた。
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