増える若年層の自殺 堀潤「無理をせず逃げて」
ananweb / 2017年9月8日 7時0分
意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「自殺予防週間」です。
■ 日本は自殺大国。9 月はとくに注意月間なんです。
9月10日は世界自殺予防デー。それにちなんで、日本では9月10日~16日を自殺予防週間に定めています。期や年度の替わる3月と9月は、自殺する人が多いのですが、18歳以下に限ると9月1日が突出して自殺者が多いんです。1972年~2013年に自殺した18歳以下の子どもの数は1万8048人。平均すると1日約50人ですが、9月1日に自殺した数は131人で平均の2.6倍にものぼります。また、9月2日は4番目、8月31日は5番目に多く、夏休み明けのプレッシャーが精神を不安定にさせるようです。いじめ問題もありますが、学校に行かせようとする親の期待に応えられないことから、自分を責め、存在意義を見失い、自殺に至るケースも少なくありません。
自殺者数が把握できる世界90か国で、人口10万人あたりの自殺者数を比べてみると、日本はワースト6位。女性に限ればワースト3位に入っています。それほど、日本は自殺大国なんですね。
厚生労働省の自殺対策白書によれば、平成10年以降、14年間連続で3万人を超えていた自殺者の数が、平成24年には2万人台にとどまり、日本全体で見れば、減少方向にはあります。しかし、問題は10代後半~30代の若年層の自殺者が増えていること。平成27年の15歳~39歳の死因のトップは「自殺」だったんですね。
自殺の原因はいくつもの要因が複雑に絡んでおり、特定はできませんが、遺書などから推測すると、「うつ病などを含む健康不安」「経済、生活面の不安」「家庭問題」「勤務問題」などが上位に挙がっています。
政府はこの現状を重く受け止め、平成18年に「自殺対策基本法」を制定し、国を挙げて自殺防止に取り組もうとしています。NPO法人「自殺対策支援センター ライフリンク」では、借金やいじめ、人間関係など、トラブル別の電話相談窓口を紹介しています。いつなんどき、あなたやお友達が崖っぷちに追い込まれるかわかりません。ぜひ元気なうちにウェブサイトを覗いてみてください。学校でも会社でも、命を落としてまで、通わなければいけない場所はどこにもありません。無理をせずに逃げてほしいと思います。
ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN
※『anan』2017年9月13日号より。写真・中島慶子 イラスト・五月女ケイ子 文・黒瀬朋子
(by anan編集部)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
将来有望な電力源「宇宙太陽光発電」 世界に先んじて2050年ごろの実用化を目指す
ananweb / 2024年4月13日 21時0分
-
あらゆるリスクを考え事前に議論を! 今、世界で注目の「脳埋め込みデバイス」
ananweb / 2024年4月6日 21時0分
-
こどもSOSコミュニケーション支援システム「キミノミカタ」で子供たちが安心して生活できる社会を実現
PR TIMES / 2024年4月6日 3時40分
-
「性同一性障害特例法」の要件は本当に必要? 世界の事例から考える
ananweb / 2024年3月30日 21時30分
-
世界平和に貢献できることを願って…日本ならではの細やかなものづくりが反映された「H3ロケット」
ananweb / 2024年3月24日 20時30分
ランキング
-
1東海道新幹線の「個室」が100系以来、四半世紀ぶりに復活! 「どこに設けられる?」JR東海に聞いた
オールアバウト / 2024年4月19日 21時45分
-
2少人数学級・特別支援学級・産育休…少子化でも教員が足りなくなる3つの理由
産経ニュース / 2024年4月19日 19時41分
-
3洗濯機が臭いです。掃除は毎月やらないとだめですか? 【家電のプロが回答】
オールアバウト / 2024年4月19日 20時15分
-
4SNSでも「かわいい」「癒し」と話題に! セリアで急増中の「シマエナガ」グッズ15選【一挙紹介】
オールアバウト / 2024年4月18日 20時45分
-
5744自治体、消滅可能性 4割超、30年間で女性半減
共同通信 / 2024年4月19日 21時35分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください