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渡辺謙が…ラグビー日本代表、チームの結束を高めた“サプライズ”とは?

ananweb / 2020年1月23日 19時30分

渡辺謙が…ラグビー日本代表、チームの結束を高めた“サプライズ”とは?

オリンピックを目前に控え、チームスポーツの日本代表が大盛り上がり! ラグビーの識者に、昨年からの日本代表の活躍にみるチーム力を、ラグビージャーナリスト・村上晃一さんに語っていただきました。強いチームの作り方や、より強く団結するためのヒントをお伝えします。
■ 言葉や文化の垣根を越えた、多国籍のチームで強くなる。


昨年のワールドカップ(以下、W杯)で日本や世界を沸かせたラグビー日本代表チーム。“チーム力”と聞くと彼らを連想する人が多いのでは。ジェイミー・ジョセフヘッドコーチ(以下、HC)がスローガンとして掲げた「ONE TEAM」は、2019年を象徴する言葉にもなった。そんなラグビー日本代表の大きな特徴のひとつは、さまざまな人種が混在する多国籍のチームであること。

「ラグビーでは、代表選手になるのにその国の国籍は必要ありません。一定の条件を満たせば母国以外の代表になることが可能で、ダイバーシティの一例としても話題になっています。以前は半数が外国人選手ということに違和感を覚えた人もいたかもしれませんが、実は日本の他にもスコットランドやオーストラリアなど、代表に多数の外国人がいるチームは少なくありません。その国の代表であることに誇りを持って戦えば、日本人である必要はない。民族、国籍、宗教関係なく一体となれるのがラグビーなのです」

■ “個”が100%の力をチームの能力を引き出す。

「力は出し切らないと増えないよ」とは、ミスターラグビー平尾誠二さんが、恩師の山口良治さんにもらった言葉。W杯の代表メンバーは、まさにこの名言を体現していたという。

「試合後にいつもグラウンドから這うように出てくるトンプソン・ルーク選手に、なぜそこまで力を出し切るのかと聞いたことがあるんです。すると彼は、『僕は足が速いわけでも、パワーがあるわけでも、体格が大きいわけでもない。だから100%力を出し切らないとグラウンドに立つ意味がないでしょう』と言う。確かに日本代表の選手は世界と比べると体格もやや小さいので、彼と同じ想いでグラウンドに立っていた選手は多いと思います。チームスポーツでは試合中に目立った活躍をする選手もいますが、今回のW杯はMVPを選べないほど団結して戦っていた印象です。一人一人が自分の役割を果たし、個が最大限に力を出し切ったことでチームの能力が引き上げられたといえるでしょう」

■ 密なコミュニケーションと、自分の頭で考えるプレースタイル。

ベスト8という大躍進は、2016年より日本代表HCに就任したジェイミー・ジョセフ氏による功績も大きい、と村上さん。

「2015年のW杯で日本を率いたエディ・ジョーンズHCが“先生”のようなトップダウン型の指導であったのに対し、ジェイミー・ジョセフHCは“兄貴”のような立ち位置で、選手たちが自ら考え、判断し、率先して動けるよう自主性を育む監督でした。例えば、リーダーはチームに1人置くのではなく、各ポジションから選出してまずは彼らに課題を伝えます。リーダーたちはその課題を各パートに持ち帰り、メンバー同士で話し合う。こうした密なコミュニケーションによって、選手全員が“自分もメンバーの一人だ”という自覚を強く持てたといいます。また各々が自分の役割だけでなく、チームが何をすべきかをよく理解していたため、試合中に想定外の場面に出くわしても誰かがカバーをするなど冷静な判断ができたのです」

■ 試合前のミーティングでは、チームが一丸となる嬉しいサプライズ!

試合前日の夜のミーティングは、チームの結束を高める貴重な時間。監督の計らいで毎回特別なゲストが登場し、選手たちの気持ちを奮い立たせてくれたのだそう。

「W杯の開幕戦前日には、代表合宿に参加したものの残念ながら選外となった10人が宿舎にやってきて、代表メンバーに激励の言葉を贈りました。選手一同感激し、チームが一つになったというエピソードです」

大一番の南アフリカ戦前日には、俳優・渡辺謙さんが登場するというサプライズも!

「宿舎のミーティングルームには、選手たちが“強さの象徴”としている赤い甲冑(鎧兜)が飾られています。選手たちはその鎧兜を『カツモト』と呼んでいるのですが、実は映画『ラストサムライ』で渡辺謙さんが演じた勝元盛次(かつもと もりつぐ)から命名しているんです。そんな背景もあり、渡辺謙さんの訪問と生の鬨(とき)の声には選手たちも大興奮。闘志に火がついたことは言うまでもありません」

むらかみ・こういち ラグビージャーナリスト。『ラグビーマガジン』(ベースボール・マガジン社)の編集長を経て、フリーランスの編集者、記者として活動。

※『anan』2020年1月29日号より。写真・朝日新聞社/ゲッティ 取材、文・黒澤祐美

(by anan編集部)

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