多部未華子「あははは(笑)。神頼み的な!」セリフが覚えにくくても楽しむ役作り
ananweb / 2020年10月25日 18時0分
仕事に、恋に、人生に悩む等身大の女性を演じれば、同世代女性の共感を総ざらいにし、キュートな笑顔を見せれば男性はイチコロ。“多部ちゃん”人気は高まるばかりです。
自分の頭の中に出てこない発想は面白いと思うし、知るのは楽しいです。
“おじキュン”なる言葉を生み出すなど、自粛ムードの最中にお茶の間の私たちを癒し、楽しませてくれたドラマ『私の家政夫ナギサさん』。多部未華子さんが、家事が苦手なキャリアウーマン・相原メイを演じるとSNSでは“毎週可愛い”のキーワードが飛び交い話題に。そんな多部さんが主演する新たな映画『空に住む』が公開されます。
――多部さんが演じる、両親を亡くしてしまった直実の喪失と再生をテーマにした物語ですが、青山真治監督とは初仕事だそうですね。この作品のオファーを受けたきっかけから教えてください。
多部:一番大きな理由は、映画らしい映画を生み出している監督のもとでお芝居がしたかったからです。物語を知るよりも先に青山監督の現場に入りたい、という気持ちで映画の現場やお芝居、独特の世界観にどっぷり浸る撮影期間にしたい、という心構えだったと思います。そうしたら、直実というキャラクターはつかみどころがなくて、だいぶ戸惑ってしまって(笑)。
――孤独を抱え、多くを語らない直実は、確かになかなかつかめない女性でしたね。
多部:両親からは「雲みたい」と言われていたぐらいですからね。そんな両親も亡くなってしまい、叔父夫婦の計らいでタワーマンションの高層階に住むことになり、売れっ子俳優の時戸森則(ときと・もりのり=岩田剛典)と出会って…って、それだけでも現実離れした話なのに、直実がまた哲学的なセリフを口にする女性で。哲学って私が最も苦手なジャンルなので、セリフを覚えるのも大変でしたし、脚本を読みながら悩んでしまいました。でもある時、つかみどころのない女性なら、つかめないまま演じるのもいいのかもしれない、と割り切ってからは、気持ちが楽になったんです。
――役の全部を理解できなくても…という感じですか?
多部:はい、直実に限らずそもそもどんな役でも100%理解できることはないと思っています。逆に、片っぱしからわかるわかる、なんて共感できたらちょっと気持ち悪いですよね(笑)。でも、脚本を読んだだけでは、叔父の奥さんの明日子さん(美村里江)のちょっと明るくて空気が読めなくて、ズケズケ人の心に入ってくるタイプも、職場の同僚で妊婦の愛子(岸井ゆきの)の言動も、個人的には理解できないと思っていたんですが、完成した映画を観たら腑に落ちることもたくさんあったんです。明るくしていても本当に幸せかどうかわからないとか、もろい部分があるからあえてサバサバしているのかなとか、もしくは対人関係に一定の距離を保ちたいタイプなのか…と振る舞いの向こう側を考えると、明日子さんや愛子、直実も、意外と周りにいるのかもしれないな、と思ったんです。誰にでもわかりやすくて、気楽に見られるテレビドラマとは違い、観る方が選んでお金を払う映画は、明確なメッセージを伝えなくていいとも思いますね。
――なるほど、それこそ望んでいた映画の現場だったりするわけですね。ところで以前、セリフが頭に入らない時は台本を枕の下に入れて寝る、とおっしゃっていたのが印象的でしたが(笑)。
多部:あははは(笑)。神頼み的な! 哲学が苦手とはいっても、今回はそこまでではなくて。覚えにくくはあるんですが、自分の頭の中に出てこない発想は、面白いと思うし、知るのは楽しいです。
両親との死別をきっかけに、愛猫ハルと一緒に都心の高層マンションに住むことになった直実が、出会いや死を経験しながら、葛藤を乗り越えていく。監督/青山真治 原作/小竹正人『空に住む』(講談社) 出演/多部未華子、岸井ゆきの、美村里江、岩田剛典ほか 映画『空に住む』は10月23日(金)より全国ロードショー。
たべ・みかこ 1989年1月25日生まれ、東京都出身。2002年に女優デビュー。近年の出演作は主演ドラマ『これは経費で落ちません!』『私の家政夫ナギサさん』、映画『あやしい彼女』『アイネクライネナハトムジーク』、舞台『ドクター・ホフマンのサナトリウム~カフカ第4の長編~』ほか多数。
ジャケット¥52,000 スカート¥48,000(共にBAUM UND PFERDGARTEN/UNIT&GUEST TEL:03・5725・1160) トップス¥28,000(kotohayokozawa) リング、右手中指¥10,000(Folk/N/UTS PR TEL:03・6427・1030) その他はスタイリスト私物
※『anan』2020年10月28日号より。写真・野呂知功(TRIVAL) スタイリスト・岡村春輝 ヘア&メイク・光野ひとみ インタビュー、文・若山あや
(by anan編集部)
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