明日海りお、「男役にしては小さい」と言われ…宝塚時代と退団後を語る
ananweb / 2021年1月8日 19時40分
少女時代に憧れたタカラジェンヌの夢を叶え、約6年にわたり花組トップスターとして活躍した明日海りおさん。退団から1年。華も実力も人気も兼ね備えたその人が、久々に舞台の上に戻ってきます。
舞台の稽古が始まって、平常心を取り戻してきた。
――宝塚を退団して1年が経ちます。この間、世の中も大きく変化しましたが、どのようなことを考え過ごされていたんでしょう。
明日海:今まで宝塚がすべてで来たんですね。大好きで、でもだからこその苦しさもあって…。でも、実家を出てから10数年間当たり前にいた世界がなくなって、私はどうなっちゃうんだろうって思っていたんですけれど、意外と日常はそんなに変わらなくて…。一時期は、変わらなきゃいけないのかなと思ったこともありました。でも最近は、今向き合っているお仕事に対して、ちゃんとその時どきの表現ができてさえいれば、自分は自分らしくいていいのかなって。べつに無理していたわけではないんですが、変に自分に対して圧をかけていたのかもしれません。今、舞台の稽古が始まって、平常心を取り戻してきたというか。忙しくても、他の仕事と同時進行だとしても、本番がここにあってくれて、そこに向けて積み上げていくものがある。そのことにすごく落ち着きますし、ようやくお客様に会えることでいつもの自分が返ってくるような気がしています。
――やっぱり舞台がホームという感覚なんでしょうか。
明日海:慣れた現場だけに、自分の中に、これはいいとか良くないというハッキリしたものがあるので、安心は安心ですよね。
――連続テレビ小説『おちょやん』も撮影中だそうですが…。
明日海:朝ドラって素晴らしいですよね。毎朝家庭にお届けする作品だから、台本も毎回毎回素敵だし、ヒロインもそれに関わる人たちも、みんなが個性豊かに描かれていて、泣けるし笑えるんです。出演者もスタッフも、みなさんとても仲が良くてワイワイした現場ですが、ひとたび本番の声がかかるとプロの極みの技を見せてくださる。熱い現場でとても楽しいです。
――映像には慣れました?
明日海:映像の場合、はいスタートって本番が始まったら、そのシーンはそこが初日であり千秋楽。初めてやるその場で、初めて一緒にお芝居する方と瞬時にいろんなものを察知して、その時に一番いいものを出していける能力が欲しいなと思います…。ただ、『おちょやん』は、お芝居をする人たちのお話なので、そこはちょうどよかったなと。舞台女優の役で劇中劇もあるんですが、舞台に立った時の空間の使い方とか声の張り方はわかっていますし、着物とかも着馴れていますし。今までやってきたことが活かせてよかったです。
今取り組んでいることに、納得できる自分でいたい。
――以前のインタビューで、宝塚を辞めるまで次の進路を決めていなかったと話されていました。人気も実力も兼ね備えていながら、とても意外だったのですが。
明日海:宝塚しか好きじゃなかった、みたいなところがあるんです。宝塚がすべてだったから、辞めた後どうしていいかがわからなくて、実家に帰るという選択肢も考えたんです。でも、退団した後、もっとすべて使い果たして動けない…ってなるかと思ったら、意外と元気だったんですよね。女優という道を選択した理由はいろいろあるんですが、何よりお芝居とか歌ったり踊ったりが好きだということ。そして、ファンの方と会う機会がなくなっちゃうのが寂しいなというのが大きかったです。
――もうひとつ伺いたかったことがあって…。明日海さんって、在団中から男役を作るというより、演じる役というか人物になることを重視して役作りされていた印象があるんです。自分が目指す方向はこっちだと、どこかのタイミングでお決めになったのかなと思っていたんですが…。
明日海:それは結構早いかもしれません。男役の中では身長が高くなくて、ちょうど新人公演主演がやれるかやれないかくらいの時期に、女役ばかりが続いたんですね。男役にしては小さいとか、幼く見えるとか言われることも多くて、それが悔しくて、外見じゃなく内面の包容力とかそういった部分で勝負しようって思ったんです。
――男役ではなくなって、役との向き合い方は変わりました?
明日海:役を演じるという意味では、あまり変わらなかったです。とても楽しくて、こんなに変わらないものかなって思うんですけど。
――この先、目指していきたい女優像はありますか。
明日海:可能性を縮めたくないので、あまり理想像を描きすぎず、今その時に取り組んでいることにちゃんと納得してできている自分でいたいなと思っています。行き当たりばったりみたいですけれど。
明日海さんが主人公・エドガー役で主演するミュージカル・ゴシック『ポーの一族』は、1/11~梅田芸術劇場メインホール、2/3~東京国際フォーラム ホールC 、2/23~名古屋・御園座で上演。脚本・演出は宝塚版に引き続き小池修一郎さんが担当。エドガーと心を通わせる少年・アラン役に千葉雄大さん。ライブ配信も決定。
あすみ・りお 1985年6月26日生まれ、静岡県出身。2003年に宝塚歌劇団に入団。下級生時代から数々の大役を務め、‘14年に花組トップスターに就任。‘19年11月の退団後は映画『ムーラン』日本版声優のほか、放送中の連続テレビ小説『おちょやん』、1月12日から放送のドラマ『青のSP(スクールポリス)-学校内警察・嶋田隆平-』などにも出演。
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※『anan』2020年1月13日号より。写真・小笠原真紀 スタイリスト・大沼こずえ(eleven.)ヘア&メイク・山下景子 インタビュー、文・望月リサ
(by anan編集部)
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