ゾクゾクする…世界的アーティストのミステリアスな話題作、公開!
ananweb / 2021年4月3日 10時0分
世界で活躍する現代アーティスト、マーク・マンダースの国内美術館初の個展が東京都現代美術館ではじまりました。今にも崩れそうな彫像に、言葉や家具などさまざまな組み合わせからなるオブジェなど、彼の作品はミステリアスでちょっと不気味。いったい、どんな意味があるのでしょう? 今回は、作家本人の言葉と一緒に展示作品をご紹介します!
国内美術館で初!
【女子的アートナビ】vol. 199
展覧会のタイトルは、『マーク・マンダース ―マーク・マンダースの不在』。国内美術館として初となる今回の個展では、彫刻やドローイングなど33点を展示。本邦初公開となる代表作《夜の庭の光景》と《マインド・スタディ》も見ることができます。
また、本展では作家本人が海外からリモートで展示のディレクションを行い、展示室全体が見ごたえある空間になっています。
マンダースは1968年オランダ生まれ。大学でデザインを学び、現在はベルギーを拠点に活動。欧米各地で個展を開き、現代アートの国際展『ヴェネツィア・ビエンナーレ』にも参加するなど、国際的に高い評価を得ているアーティストです。
展示全体が自画像…!?
マンダースの作品コンセプトは「建物としての自画像」。個々の作品だけでなく、作品を置いた展示室や建物も含めたすべてがひとつのインスタレーション作品であり、作家の大きな自画像になっています。
彼は18歳のときに自伝を執筆しようとしたことがきっかけで、「建物としての自画像」という構想を思いつき、以来30年以上にわたり、このテーマで制作を続けています。
プレス内覧会にリモート参加したマンダースは、このコンセプトについて次のように語りました。
マンダース 建物としての自画像というものは、まず想像上のフロアプランを作ります。東京の展示でも、フロアプランを作りました。展示室のサイズや天井の高さ、面積もすべてが作品の一部になります。そのなかで、自分の好きなところに作品を配置できます。私にとっては全部集めてひとつの作品で、個展そのものが大きな作品なのです。
また、別のインタビューでマンダースは「作品は文章のようになる。言葉そのものよりダイレクトに語りかけてくる」とも述べています。
自伝を文章で書くかわりに、彫刻作品などを含めた展覧会そのもので表現し、それが作家の自画像となっているようです。
崩れた顔の意味は…
マンダースの作品には、崩れたりひび割れたり、胴体が分割されていたりと、不穏な雰囲気が漂うものが多くあります。
このような作品について、作家は次のように語っています。
マンダース 私は制作している瞬間が大好きで、何かが完成していない、未完成な感じもすごく好きです。未完成の状態にすることによって、次に何かが起きる感じがすごく好きです。一つひとつのものを集めると、ひとつの大きな静けさを感じていただけると思います。
また、いくつかの要素が対で展開している作品《夜の庭の光景》も、一見すると扱われているモチーフにギョッとしますが、マンダースの公式サイトによると、作家は暴力的なシーンとは思っていないとのこと。彼の関心は横たわる猫ではなく、緩んだロープのほうにあるようです。
マンダース作品はすべてが計算され、緻密につくられています。展示室の空間は静謐さと不穏さが混ざり合い、足を踏み入れると時が止まってしまったような感覚になります。
「凍結した瞬間」と作家自身が呼ぶその作品世界を、ぜひ会場で体感してみてください。
Information
会期 : ~6月20日(日)
会場 : 東京都現代美術館
開館時間 : 10:00-18:00(展示室入場は閉館の30分前まで)
休館日 : 月曜日(5月3日は開館)、5月6日
観覧料 : 一般 ¥1,500、大学生・専門学校生・65歳以上¥1,000、 中高生¥600、小学生以下無料
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