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心の退化が人生から愛を奪う 9月18日~22日

ANGIE / 2016年9月18日 11時0分



先日、あるドクターと話したときのこと。「最近、恋愛しない若者が増えているのよ」という話を聞き、驚きました。超情報社会といわれる現代、「リアルな恋愛は面倒くさい」とバーチャルな恋愛にはまる若者もいるのだとか。目に見えるもの、たとえばお金といった経済的な価値観でしか物事をはかれない、「コスパ化する結婚」という雑誌の見出しに目が点になりました。

私たちはロボットではありません。心ある人間です。でも「心」が退化してしまえば、もしかしたらロボットと変わりなくなってしまうかもしれませんね。ロボットと違って人間は確実に年をとります。年をとると感性が鈍り、新鮮な驚きがすくなくなるといわれますが、逆に感性を磨き続けることができればアンチエイジングにつながり、いつまでも若々しくいられるのではないでしょうか。

心を、感性を磨いて、愛あふれる人生を歩みましょう。連載「心なごむ昔ながらのスローライフ 旧暦の暮らし」では、めぐる季節を「五感」と「心」で感じるヒントをお届けします。

 
七十二候とは?
時間に追われて生きることに疲れたら、ひと休みしませんか? 流れゆく季節の「気配」や「きざし」を感じて、自然とつながりましょう。自然はすべてのひとに贈られた「宝物」。季節を感じる暮らしは、あなたの心を癒し、元気にしてくれるでしょう。

季節は「春夏秋冬」の4つだけではありません。日本には旧暦で72もの豊かな季節があります。およそ15日ごとに「立夏(りっか)」「小満(しょうまん)」と、季節の名前がつけられた「二十四節気」。それをさらに5日ごとに区切ったのが「七十二候」です。

「蛙始めて鳴く(かえるはじめてなく)」「蚯蚓出ずる(みみずいずる)」……七十二候の呼び名は、まるでひと言で書かれた日記のよう。そこに込められた思いに耳を澄ませてみると、聴こえてくるさまざまな声がありますよ。

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命がけで旅に出る鳥


ちょうど今ごろ、9月18日~22日はつばめが南の国へ帰っていく時季、第四十五候「玄鳥去る(つばめさる)」。南から渡ってきて子育てを終えたつばめたちが南の国へ帰り始める、さようならの季節です。

つばめは天敵も多く、若いうちに命を落とすことも多いため、平均寿命は一年半といわれているそうです。まさに命をかけて、あの小さな体で数千キロの旅に出るんですね。

毎年この時季になると、空を飛ぶつばめに「がんばるんだよ」と心の中でエールを贈ります。つばめのいなくなった空、吹きわたる風を感じて、豊かな感性を育みませんか? 今よりもっと愛するために、愛されるために。秋は「愛の力」を育む季節です。

 
トンボからあなたへと贈るメッセージ


つばめがいなくなると、空を飛ぶのはトンボ。つい先日、不思議な体験をしました。東京の友人が、東日本大震災で被害を受けた海で祈りを捧げたいと、みんなで海へ。通行止めのところも多く、最後に荒浜の海へ向かうことにしました。

でこぼこ道を走っていたとき、どこからともなく青いトンボが姿をあらわし、まるで車を案内するかのように目の前をすいすいと飛んでゆくではありませんか。トンボが姿を消したとき、海へと出ました。

トンボには昔からさまざまないわれがあります。古代、日本は「秋津島」と呼ばれていたそうですが、古いトンボの名は「秋津」。これは神武天皇が日本の姿を見て、「トンボのようだ」といったところからきているとか。

また、トンボは亡くなったひとの魂やその生まれ変わり、神さま仏さまの遣いであるとも信じられています。実際、ハグロトンボは一部の地域で「カミサマトンボ」と呼ばれ、田の神の化身とされています。さらにトンボは後退しないことから「勝虫」と呼ばれ、武将たちの間でトンボモチーフのものが流行したそうです。

もし弱気になっているときにトンボを見かけたら、「神さま仏さまがちゃんと見ていますよ」「弱気にならないで、勝ちにいきなさい」という愛情が込められたメッセージです。

 
風の色を感じよう

Photo by 株式会社ユーメディア


皆さんはこの時季の風に色があるとしたら、何色だと思いますか? 古のひとはこの時季の風に、「色なき風」という名前をつけました。中国から伝わった五行説で秋をさす色は「白」。その白を「色なき」にいいかえて「色なき風」。秋はなんとなくセンチメンタルになる季節。身に染むような秋風にぴったりの名前ですね。

私が執筆いたしましたお家で楽しめるデイリーおみくじ「福を呼ぶ 四季みくじ」には、「色なき風」というカードがあります。「大切なものは、目には見えません。心の目で見つめ、心の耳を澄ましましょう」というメッセージが込められたカードです。

皆さんは、言葉にできない思いを感じたことはありませんか? すごくかなしいとき、すごくうれしいとき、さまざまな思いが胸を交差するとき、秘めた思いを抱えているとき、ひとは言葉を失います。相手の立場に立って言葉にできない思いに心を傾けること、そばによりそう時間が、誰かとの心の距離を近づけてくれるんじゃないかなと思います。

今よりもっと愛するために、今よりもっと愛されるために、この時季、空を吹きわたる「色なき風」を味わいましょう。

 
恋の噂のたえないひとを好きになったら


「月草」とも呼ばれる小さな花「露草」は、秋の季語になっています。あの鮮やかな青に、いつもハッとさせられます。幼い頃、妹と露草をハンカチにすりすりして遊びました。露草の青は美しく、好んで染めつけに用いられたそうですが、色はあせやすいので、恋の和歌ではひとの心の移ろいやすさにたとえられることが多かったようです。

「誰にまたうつし心のひとさかり見えてかなしき月草の色」

~ 大好きなあのひとは誰にまた心を移すことか。いっときだけの盛りが見えて切ない月草の色よ ~

恋の噂のたえないモテモテなひとと深い仲になったものの、かなしい思いはしたくないから、一途に期待するのはやめよう。そんな思いを月草のはかない色に重ね詠んだ和歌です。苦しく切ない思いも芸術に昇華させると、なんとなく心が救われる気がするから不思議ですね。

 

いかがでしたか? テレビでマツコ・デラックスさんが若者の恋愛事情を特集した番組の中で、「恋は落ちるもの。考えが老けていては難しい」と話していた言葉が印象的でした。

ひとを好きになるのに理由はありませんね。恋は考えてするものではありません。ましてや恋を愛に育てるには、相手の心の声に耳を澄ませる、「やさしさ」という名の豊かな感性が必要だと思います。だとしたら、心が老けてしまわないよう、毎日の生活の中で心をせっせと磨きましょう。秋は心を磨くチャンスの季節です。

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【参考】『二十四節気と七十二候の季節手帖』山下景子/成美堂

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