フルマラソンを2時間40分で走る! アスリート系社長の語る「持続力」の仕事術

AOLニュース / 2013年9月6日 19時10分

フルマラソンを2時間40分で走る! アスリート系社長の語る「持続力」の仕事術


今回お話を伺ったのは、書籍の文章を吹き込んだ音声コンテンツを耳で聴いて楽しむ「オーディオブック」の制作・配信を手がけるオトバンク社の久保田裕也社長。
2004年の会社立ち上げ以来、オーディオブック配信サイト「FeBe」の登録人数が10万人を超え、制服姿のキャラクターが国内外の名作を読み上げてくれるiPhoneアプリ「朗読少女」が100万ダウンロードを記録するなど、日本では馴染みの無かったオーディオブックを着実に浸透させつつある久保田社長の仕事術について、じっくり聞いてみました。


―そもそもこのオトバンクという会社はどうやってスタートしたんですか?

弊社の創業者である上田渉(現会長)が、「目の見えない人のための朗読CDを無償配布するNPO法人を作ろう」と言い出したのがきっかけです。当時日本ではオーディオブックはほとんど普及していませんでしたが、調べてみると、海外では大きな市場になっていることが分かりました。それこそ『ハリー・ポッター』や、ビル・クリントン元大統領の『マイライフ』のようなベストセラー本がオーディオブック化され、大ヒット商品となっていたんです。

そこで、オトバンクをNPO法人としてではなく株式会社として立ち上げ、日本にオーディオブックの市場をしっかり作ることで、より多くの人にたくさんの作品を提供することができると考えるようになりました。

上田はいわゆる「アイディアマン」タイプで、誰もが思いつかなかったような発想をポンポン出してくるのですが、経理や経営などの実務的な面は苦手としていました。逆に私は、昔からラジオが好きで、パーソナリティを裏から支える「放送作家」という仕事に憧れていたんです。なので、上田が出すアイディアを企画に落としこみ、チームを編成して、ビジネスとして立ち上げる、という作業が肌に合っていたのでしょう。

―「オーディオブック」という市場にベンチャー企業が挑むにあたって、苦労した点はありますか?

最初に苦労したのは、コンテンツの権利元である出版社と関係を作ることでした。ウチは学生の集まりからスタートした会社なので、出版社出身の人間が一人もいません。だから、良く言えば「出版業界の色にまったく染まっていない」状態から、ひとつひとつ仕事を積み上げていって信頼関係を築いて行くしかありませんでした。

そこで最初に手がけたのが、出版社の垣根を越えて注目の新刊書籍を紹介する「新刊JP」というウェブサイトです。作家や編集者のみなさんと緊密にコミュニケーションを取りながら、広告実績を積み重ねていくことで、少しずつ関係を構築することができました。このサイトでは書籍の読みどころを15分くらいにまとめたラジオ番組を配信していたのですが、これが評判になり、次第に出版社が音声コンテンツを制作する際に、先方から声をかけていただけるまでになりました。

―社長のお仕事とは、具体的には何をするのでしょうか?

基本的に24時間仕事のことを考えていますね。我々の仕事は、ゼロからコンテンツを生み出すのでは無く、「今あるコンテンツをいかに面白く世の中に紹介するか」がポイントになります。だから、ひとつでも多くのコンテンツに触れることがマーケティングにつながるんです。だから、テレビでもラジオでも、なるべく色々なコンテンツをチェックするようにしています。良く「最近のテレビはつまらないから全く見ません」という人がいますが、そういう人はあまり信用できないですね(笑)。

オフィスでも、可能なら何時まででも仕事をしていたいのですが、一度社員から「私がずっとオフィスに居座っていると帰りづらい」というクレームをもらったんです(笑)。だから、その後は毎日19時頃から2時間くらい走って、みんなが帰宅した頃合いに会社に戻って、残りの仕事を片付けるようにしています。

―走るのがお好きなんですか?

いまは毎日20kmくらい走っていますよ! フルマラソンなら2時間40分で走ります。子ども時代は、体育祭で父兄が見守る中、周回遅れになるような典型的な「運動音痴」だったんですが。

走りはじめたのは社会人になってからです。こういう仕事をしていると食生活も不安定になってしまい、一度健康診断で「このままだと生活習慣病になりますよ」と言われたんです。そこで、何か身体に良いことをしようと思ったのが走りはじめたきっかけです。ただ、一旦何かを始めると「のめり込む」たちなので、気が付いたらプロのコーチについて、毎日何十キロも走るようになっていました(笑)。

どんなに仕事で疲れていても、どんなに天候が悪くても、「ここで走り切れればどんなコンディションでも走れる」と腹を括って、必ず走り抜きます。ランニングをしていると、年齢や立場に関係無い「ランナー仲間」ができるのも魅力ですね。この間は、現役の学生さんたちに、LINEの使い方をみっちり教えてもらいました。

―お休みの日は何をしていますか?

やっぱり走っていますね。あとはマンガが結構好きで、特に『キングダム』『テラフォーマーズ』『グラゼニ』などの青年誌系の作品が最近熱いです。小説だと鈴木おさむさんの『芸人交換日記』。久しぶりに本を読んで号泣してしまいました。ああいう「男の友情」系に弱いんですよね。恋愛ものでは全く感動しないんですけど(笑)。

―ご自身でもオーディオブックは使うんですか?

もちろん使いますよ。正直に言うと、走りながらオーディオブックを聞いていても、最初はあんまり頭に入ってこないんです。でも、2回、3回と繰り返し聞いている内に、「あ、そろそろ笑いどころが来るな」とか、「次はあのシーンだな」とか、だんだん話の展開が分かるようになってきます。そうやって、寝る前でもお風呂に入っているときでも、何かをしながら、何度も何度も繰り返し聞けるのがオーディオブックの強みだと思います。

―今後のオトバンクの展開について教えてください

まずはオーディオブックの裾野を着実に広げていくことですね。現在FeBeの利用者は、通勤途中にビジネス書や自己啓発本を聴いてスキルアップを図る男性が中心となっています。でも私は、オーディオブックは、家事や育児に忙しい女性ユーザーにこそ役に立つサービスだと考えているんです。なので、少しでも多くの女性にオーディオブックに触れてもらう機会を作って、一歩一歩ユーザー層を拡大していきたいですね。

ウェブ系ベンチャー企業の中には、アメリカで流行っているサービスを丸ごと日本に持ってきて、形になったらすぐに売りさばいてお金を稼ぐ、という所も多いのですが、私はそういうやりかたは嫌いです。やっぱり汗をかきながら泥臭く働く方が性にあっています。

―最後に、久保田社長のように事業を立ち上げたいと考えている若者にアドバイスをお願いします。

一番大切なのは「続ける」ことです。どんなに面白いアイディアでも、仕事として続けていくのは本当に大変です。そんな時に必要なのが「絶対に成功できる」という自信を持つこと。私がオーディオブックを始めたときにも、周りの人間みんなに「そんなの商売にならないよ」と忠告されました。でも、私にはオーディオブックは成功するという絶対的な自信があったので、多少つまずいても確信を持って試行錯誤している内に、少しずつ道が拓けてきました。たとえ根拠がなくても、つねに自信を持って継続することが何より大事だと思います。


【参照リンク】
・株式会社オトバンク
http://www.otobank.co.jp/
・オーディオブック配信サービス「FeBe」

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