【レビュー】クロエ・モレッツの魅力が大爆発した傑作『キャリー』 (杉山すぴ豊)

AOLニュース / 2013年10月23日 11時28分

【レビュー】クロエ・モレッツの魅力が大爆発した傑作『キャリー』 (杉山すぴ豊)


この作品、どうしても76年版(日本公開77年)と比較してしまいます。
でも、新しい『キャリー』に、僕は76年版と同じせつなさを感じました。僕にとっては、素晴らしいリメイク、そして新たな"青春映画"の名作の誕生だと思います。極力ネタバレなしにレビューしてみます。


狂信的な母親に育てられた内気な少女キャリー。彼女は、高校でのけものにされ、いじめられています。しかしあることをきっかけに、自分が精神力で物体を移動し、破壊することのできる念力使いであることを知ります。一方、彼女をいじめていたことを反省した女子学生スーは、その罪滅ぼしに、自分のボーイフレンドにキャリーを誘って、プロム(高校生活最後のダンス・パーティ)に連れて行くようお願いします。キャリーに"最高の思い出"をプレゼントをしてあげようと。
しかし、キャリーを憎む陰湿な女子が、そのプロムの夜に、ひどすぎるイタズラ(=いや、もう犯罪です)を仕掛け、キャリーは絶望のドン底に突き落とされるのです。その怒りと哀しみが頂点に達したとき、彼女の念力パワーが全開、プロム会場は阿鼻叫喚の地獄と化すのです!

ホラー小説の大家スティーブン・キングの、有名すぎる出世作が原作。そして76年に、ブライアン・デ・パルマ監督、シシー・スペイセク主演で映画化され、話題を呼びました。
この作品、最近では「午前十時の映画祭」でもリバイバルされたぐらいですから、いかに名作にして傑作だったか、それだけでもおわかりになると思います。

しかし76年版も、そして今回の素晴らしいリメイク版『キャリー』も、いわゆるホラー映画ではない。決して『恐怖の超能力少女キャリーの復讐:地獄のプロム・ナイト』的な、怖がらせ映画ではないのです。『キャリー』は、たまたま超能力をもっていたある少女の悲劇の物語なのです。


この映画の、本当にショッキングな見せ場は、クライマックスのプロムのシーンであり、そこに行きつくまでは、少女キャリーが勇気を出して、自分自身の人生を歩もうとする物語です。
僕らはいつしかキャリーに共感し、応援してしまう。だからプロムの夜、彼女が最高の幸せを手にしたとき、「よかったね、キャリー」と心から思ってしまう。

しかし、映画は、ここから一気に、破壊のスペクタクルに突入します!ピンクが似合う愛らしい少女が、血まみれの殺戮の女王になってしまう。でもここに感じるのは、怖さでも、また いじめへの復讐に対するカタルシスでもありませんでした。キャリーが、かわいそうで、かわいそうで しょうがなかった。いじめられたことが、かわいそうなのではない。本当に、あともうちょっとでつかめたかもしれない、小さな、でも彼女のこれからにとって、一生の宝になるかもしれなかった幸せがふみにじられたこと。そして、心を壊され、モンスターにならざるを得なかったこと。かわいそうなキャリー。

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