これからのコンテンツを「足し算」ではなく「引き算」で考える【後編】

AOLニュース / 2014年3月27日 18時1分

これからのコンテンツを「足し算」ではなく「引き算」で考える【後編】


〜「ザ・トップ5」というラジオ番組の作り方〜

僭越ながら、自分が立ち上げを担当した「残業支援系ランキングトークバラエティ ザ・トップ5」というラジオ番組は、「引き算」で作られた企画だ。


まずは企画に与えられた条件に沿って、番組を作る。
「野球中継のない間の半年限定番組として結果を残す」
「新たなラジオパーソナリティを開発する」
「今までにない新しいラジオ番組のあり方を見せる」
「時代にフィットしたローコスト運営」
これらをクリアするにはどうしたら良いか。

ローコストで作れる番組として、すぐにあげられる企画は、曲が多くかかる音楽番組である。しかし、ただの音楽番組ではパーソナリティのトーク力を鍛えにくい。では情報番組ではどうか? 前後の時間帯に王道的ニュース情報番組があるので、やはり「単なる情報番組」ではいけない。では時事問題ではなく、流行や生活情報を語る情報バラエティはどうか? そしてそれを分かりやすく伝えるために「最新トレンド情報が分かるランキング番組」というシンプルな企画でいくのはどうか? これが立脚点となった。
半年間で印象を残すには、複雑なコンセプトの番組であっては認知されないまま終わってしまう。
そこで、ランキング情報の紹介以外はやらない、という1コンセプトの番組からはブレずに、ひたすらランキングを紹介してトークするという、フォーマットが設計されることになった。これが一番大きな引き算である。
他にも細かいところで引き算をしている。情報番組の展開方法として「専門家に話を聞いて深堀りする」という王道的なやり方があるが、それだと主役であるパーソナリティは話の聞き役に徹することになり、やはり半年間でトーク力を上げるには邪魔になる。なのでこの番組では「専門家に電話をつなぐ」という手を一切封じることにした。
これにより「ランキング情報を元に、スタジオの出演者が協力し合ってトークを転がしていかないと番組が成立しない」というトレーニングが可能になる。
ただ、それだけでは単に薄っぺらい番組になってしまう。そこで、リスナーの心をつかむために「ドラマ性」を加えていく。
曜日別にコンビが組まれていくこの「ザ・トップ5」では、情報番組でありながら、この2人の半年間の成長物語でもあるという「連続ドラマ/ドキュメンタリー要素」の2つが両輪となって番組が転がっていく。
つまり、1回1回の番組聴取でも「流行が分かるランキング番組」として聴けるという、誰でもコミットできる入り口を設けたフェーズ1。そして連続聴取しても「次回が気になる」「回を追うごとによくなる」という連続ドラマ的なドキュメンタリーで聴かせるフェーズ2。この2つのレイヤーで番組リスナーを獲得する。
これには企画の持つフレームの強さと、出演者の魅力の両輪、それを繋ぎ合わせる演出力が必要だが、逆に言えば、これ以外の要素は足さない。欲張らない。無駄な徹夜はせずにローカロリーで運営する。これが新時代の番組運営「ザ・トップ5」の作り方であり「引き算の設計」である。

何を強みにするかを絞らなければ、何を捨てればいいかが分からない。
それには、このコンテンツは一体どういう魅力があるのかを作り手が理解し、スマートに理論武装をする必要がある。これこそ、玉石混淆のコンテンツあふれる時代を生き抜くための作り方になり得るのではないか。

さあ、今こそ、旧来の足し算設計を捨てて、胸を張って引き算でモノを作っていこう。昔よりも良いものを生み出すことは絶対に可能だ。
事実、異端とされたこの番組は、難攻不落と言われていた夕方〜夜帯の同時間帯聴取率という結果を残す事ができたのだから。

そんな引き算で作られたシンプルなコンセプトの番組は・・・

TBSラジオ954kHz「残業支援系ランキングトークバラエティ ザ・トップ5」
火曜〜金曜 17:50〜20:00生放送(3月27日までの限定放送)

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