名匠ホドロフスキーが耳をすませ続けて生まれた映画『リアリティのダンス』とは

AOLニュース / 2014年7月11日 18時5分

名匠ホドロフスキーが耳をすませ続けて生まれた映画『リアリティのダンス』とは

『ホドロフスキーのDUNE』 短期集中連載
最終回 ホドロフスキー監督が23年間"耳をすませ"続けた結晶、
最新作『リアリティのダンス』が示すこと

1975年、アレハンドロ・ホドロフスキー監督の『DUNE』は、資金難で頓挫する。38年を経た2013年5月、未完の大作をめぐるドキュメンタリー『ホドロフスキーのDUNE』と共に、カンヌ国際映画祭でワールドプレミアされた監督作品が『リアリティのダンス』である。監督として「映画的に言うべきことがなかったから作らなかった。だが、創造することをやめてはいない」と、日本未公開の前作『The Rainbow Thief』から23年、何もしていなかったわけではないと語るホドロフスキーの最新作『リアリティのダンス』は、"耳をすませ"続けて生まれたミニマルな映画だという。


ホドロフスキーと蜷川幸雄、イマジネーションのシンクロニシティ

「私はじっと耳をすませていたのです。これまで私は〈物語〉を語ってきた。しかし、今回は〈自分の人生〉を語ろうと思った。もし自分の人生が本物であれば、それぞれの人がそれぞれの人生を語ることができる」と、23年間の結晶として完成した作品『リアリティのダンス』の出発点を振り返る。

世界から精鋭たちを集めた『DUNE』とは打って変わり、自らの幼少期を形成したチリの田舎町トコピージャを舞台に、ロシア系ユダヤ人である家族との日々を描いている。
3人の実の息子がキャストに名を連ね、末息子は音楽も担当、妻が衣装デザインを協力するなど、家族を軸にしたミニマルな映画として完成した。
「審美的な映像ではなく、むしろミニマルで殺風景なスタイルにすることによって、もっと物語の中身から滲み出てくる美しさを強調したかった。だからシンプルに撮影した」そうだ。

村上春樹の原作を蜷川幸雄が演出した「海辺のカフカ」が好評だ。15歳の少年を主人公にしたこの演劇に、『リアリティのダンス』との不可思議な共通性が見いだせる。
ミニマルの手法を見事に駆使し、都会や公園、図書館や森、寝室などをステージに現出させる演出の妙。一場面を集約した最小限の単位で作られた美術セットが舞台上で錯綜し、ひとつの風景が創出される様。シンプルながら無限の広がりを感じさせる舞台に、シガーロスの音が重なり、演劇のリアルが現出した素晴らしい公演だった。
ホドロフスキーは85歳、蜷川は78歳、尚もみなぎるふたりのイマジネーションが、海を越えてシンクロニシティしているかのようだ。

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